2013 Fiscal Year Annual Research Report
リンパ節血管周囲細胞の免疫記憶維持における役割
Publicly Offered Research
Project Area | Analysis and synthesis of multi-dimensional immune organ network |
Project/Area Number |
25111507
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
高田 健介 徳島大学, 疾患プロテオゲノム研究センター, 講師 (40570073)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 免疫学 / 二次リンパ組織 / リンパ節 / ストローマ細胞 |
Research Abstract |
リンパ節の内部構造は、各領域に存在するストローマ細胞の独自の機能に基づいて区画化されている。複雑なリンパ節の内部構造が多様なストローマ細胞によって形成されるという認識が広まる一方、リンパ節ストローマ細胞の詳細な分類は進んでおらず、未知の機能を持った亜集団が数多く残されている可能性が高い。本研究では、未だ理解の進んでいないリンパ節血管周囲細胞の亜集団、およびこれらの細胞によって特徴づけられるリンパ節T細胞領域辺縁部の微小環境に詳細な解析を加えることを第一義的な目的とする。また、定常状態においてT細胞領域辺縁部に局在することが最近報告されたメモリーCD8T細胞の維持における役割を検証することを次の目的とする。 平成25年度には、血管周囲細胞の分子マーカーであるsmooth muscle actin alpha (alphaSMA)-GFPレポーターマウスを用いて、alphaSMA-GFPを発現するリンパ節ストローマ細胞の特性を解析した。まず、リンパ節組織の免疫蛍光染色解析により、alphaSMA-GFPの発現は、血管周囲細胞および網状ストローマ細胞の一部に認められ、とくに、T細胞領域辺縁部に高密度で認められた。一方、リンパ節の皮質を構成するB細胞領域にはほとんど検出されなかった。さらに、FACS解析において、リンパ節ストローマ細胞の分類に用いられているgp38およびCD31による細胞分画のうち、gp38+CD31-網状線維芽細胞およびgp38-CD31-細胞の一部にalphaSMA-GFPの高い発現が認められ、リンパ節ストローマ細胞はalphaSMAの発現によってさらなる亜集団に分けられることが明らかとなった。とくにgp38-CD31-細胞では、alphaSMA発現の有無によって、様々な分子の発現が大きく異なっていた。このことは、ソーティングによる細胞分離後の定量的PCRでも確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、未だ理解の進んでいないリンパ節血管周囲細胞の亜集団と機能を明らかにすることを目的としている。alphaSMA-GFPレポーターマウスを用いたこれまでの解析から、リンパ節ストローマ細胞および血管周囲細胞の多様性について有意義な結果を得ることができた。よって目的の前半部分を達成したので、これについて研究論文を投稿中である。 一方、目的の後半部分であるリンパ節血管周囲細胞の機能については、現在やや難航している。ナイーブT細胞がT細胞領域中心部で維持される一方、メモリーT細胞はT細胞領域辺縁部に局在することが知られている。本研究ではこれまでに、T細胞領域辺縁部に集積する血管周囲細胞がメモリーT細胞の局在と維持に関与するという、当初予測いていた可能性について検討するため、メモリーT細胞とナイーブT細胞の間でケモカイン受容体の発現を網羅的に解析した。メモリーT細胞においてより高い発現の認められたケモカイン受容体はいずれも、他の研究グループによって、リンパ節内局在とは無関係であることがすでに報告されていた。そこで、ナイーブT細胞でより高い発現の見られたケモカイン受容体として、CCR9に注目した。しかしながら、CCR9ノックアウトマウスから得られたナイーブT細胞を正常マウスに移入したところ、正常ナイーブT細胞との間でリンパ節内局在に違いは見られなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに行った検討から、CCR9の発現がTCRクローンの間で大きく異なることが分かった。そこで、高いレベルでCCR9を発現するF5トランスジェニックマウスとCCR9ノックアウトマウスを交配し、ナイーブT細胞の局在におけるCCR9の関与をより明確に検討する予定である。 また、alphaSMA-GFPレポーターマウスを用いた解析から、alphaSMA+gp38-CD31-血管周囲細胞が間葉系幹細胞のマーカーの一部を強く発現するとともに、gp38+CD31-網状線維芽細胞と類似の分子発現パターンを示すことが明らかとなった。このことから、リンパ節血管周囲細胞の機能に関する他の可能性として、alphaSMA発現血管周囲細胞が網状線維芽細胞の前駆細胞として働く可能性が考えられた。そこで、ソーティングにより分離したalphaSMA+gp38-CD31-血管周囲細胞をコラーゲンスポンジに浸透させた後、腎皮膜下に移植し、リンパ球の移入を始めとしたリンパ節様の構造を形成するかを検討する。
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Research Products
(6 results)