2013 Fiscal Year Annual Research Report
かたちをつくる血管細胞の集団的ふるまいと制御系の理解
Publicly Offered Research
Project Area | Cross-talk between moving cells and microenvironment as a basis of emerging order in multicellular systems |
Project/Area Number |
25111705
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西山 功一 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80398221)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 発生・分化 / 血管新生 / ライブイメージング / 細胞運動 / 定量評価 / 数理モデル |
Research Abstract |
本年度においては、主に血管内皮細胞と壁細胞の血管細胞が自己組織化的に新生血管先端部分で分岐構造を形成する際の血管細胞動態とその際に必要と考えられる細胞機構に関して重要な知見が得られた。 マウス大動脈片を用いた3次元組織培養系において、血管細胞を蛍光標識し共焦点レーザー顕微鏡による4次元的イメージングを行い、自己組織化し血管のかたちをつくる際の血管細胞動態(運動性と細胞形態変化)を描出した結果、血管成長先端部分での分岐形成の初期段階では、1)先端細胞の運動性変化(動から静へ)とそれに連動した2)先端細胞の特徴的な細胞形状変化(単極 から多極)が生じていることが分かった。さらに、その先端細胞での細胞形状の変化の際には、後続細胞との相互作用が重要であることが推測された。また、分岐形成初期に形成された分岐構造を維持するためには、形成された分枝両方向への持続的な細胞の侵入が必要であることが分かってきた。 以上の現象論的観察結果から、分岐形成のメカニズムを解明する一つのキーポイントとして、先端細胞と後続細胞の相互作用に着目する必要があると考えられた。したがって、先端細胞と後続細胞の相互作用の存在を確かめるため、数理モデルを使った予測とゼブラフィッシュ胚を用いた実験的検証を行った。その結果、先端細胞の枝伸長方向への方向性運動には、後続細胞の先端細胞方向への運動とその際の何らかの細胞間作用が必要であることが示されてきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の当初の実験計画として、血管細胞が自己組織化的に血管分岐構造を形成する際の細胞動態の描出と定量化、さらにそれに基づく数理モデルの基礎を構築することを掲げた。最も重要である計画目標の細胞動態の描出とその特徴の抽出に関して本年度においてほぼ達成できているが、それらの特徴の定量化並びに数理モデル化に関しては、現在進行中であり、自己評価区分としてやや遅れていると判断した。計画目標の遂行に際した細胞動態特徴の抽出の部分において、想定以上に時間が必要となったことが一番の原因であるが、先端細胞と後続細胞との相互作用の存在を示す重要な成果が得られたことで、以後の研究の進展が強く期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、本年度の成果を基礎に分岐形成のメカニズムに関して、特に先端内皮細胞-後続内皮細胞間相互作用による先端細胞動態の制御機構に着目して、分岐形成を理解するための数理モデル化を応用数学者との共同で進めていく。また、数理モデルによる理論予測を実験的に検証するin vitro構成的実験系を現在独自に構築中であり、引き続き開発を進めていく。さらに、生体内での実験的検証に関しては、計画書通りに2カ所の専門的施設と共同して研究を行うことにより、研究の効率化をも図っていく。
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Research Products
(10 results)