2013 Fiscal Year Annual Research Report
細胞の動きが規則的な空間パターン形成に与える影響の構成的理解
Publicly Offered Research
Project Area | Cross-talk between moving cells and microenvironment as a basis of emerging order in multicellular systems |
Project/Area Number |
25111712
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
戎家 美紀 独立行政法人理化学研究所, 発生・再生科学総合研究センター, 研究ユニットリーダー (00544933)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | パターン形成 / 細胞運動 |
Research Abstract |
Delta-Notchシグナル伝達によって細胞集団が自己組織化する際に、細胞が動くことがどのように貢献・阻害するのかを、Delta-Notchの側方抑制ネットワークを実際に作ることで検証した。具体的には以下の2テーマを行った。 テーマ1.方向性を持った細胞運動と遺伝子ネットワークが協力してパターン形成を促進する場合 Nectin-1とNectin-3による細胞選別機構を、Delta-Notchの側方抑制遺伝子ネットワークと組み合わせることで、パターン形成が促進するか検討した。まず先行研究に従い、Nectin-1とNectin-3をそれぞれHEK293細胞に発現させたところ、細胞選別が起きることが確認できた。しかし、これまで側方抑制遺伝子ネットワーク作製に用いてきたCHO細胞では、Nectinによる細胞選別が確認できなかった。 テーマ2.ランダムな細胞運動がパターン形成を促進する場合 細胞のランダムな動きの程度を変化させるため、1.細胞密度を上げる、2.特殊な培養皿を用いて細胞と細胞外基質の接着部位を制限する、3.細胞間接着因子を強制発現する、などの実験を行った。結果、細胞がよく動く時には、側方抑制細胞パターンにおいてDeltaが活性化した細胞の比率が増加し、細胞が動かない時にはNotchが活性化した細胞の比率が増加する傾向を見出した。今後、細胞の動きと細胞比率の関係についてより詳細な解析を行う。また、現在用いているCHO細胞は細胞形態が不規則であるため、規則正しい細胞パターンの解析には向かないことがわかった。今後、より規則的な細胞パターンを形成できる実験系の構築を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
テーマ1、2ともに、計画通りの実験を行うことができた。結果、テーマ1は実現可能性が低いことが分かった。一方テーマ2では、細胞運動と細胞パターンの比率の関係、という新しい知見を得ることができた。よって、研究はおおむね順調にしている。
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Strategy for Future Research Activity |
テーマ1については、実現可能性が低いと判断したため、今後はテーマ2に絞って研究を進める。テーマ2では、細胞運動と細胞比率の関係を、より定量的に調べる。また、より規則的な細胞パターンが形成される実験系を構築し、細胞運動と細胞パターン形成の関係を検討する。
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