2013 Fiscal Year Annual Research Report
ギャップ結合が作る細胞間相互作用と生物の形
Publicly Offered Research
Project Area | Cross-talk between moving cells and microenvironment as a basis of emerging order in multicellular systems |
Project/Area Number |
25111714
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
渡邉 正勝 大阪大学, 生命機能研究科, 准教授 (90323807)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ギャップ結合 / パターン形成 / ゼブラフィッシュ |
Research Abstract |
本研究の目的は、ゼブラフィッシュの体表模様を研究材料に、組織形成(パターン形成)における細胞間相互作用の中でもギャップ結合に着目し、その機能・作用を解明すること、更には、パターン形成にかかわる低分子化合物やイオンの流れの解明を目指すことである。これまでの研究により、ギャップ結合をコードする遺伝子のひとつ、コネキシン41.8が、ゼブラフィッシュの体表模様形成に重要な役割を担っていること、コネキシン41.8変異体の異所的発現により、様々なパターンが創出可能であること、そして、コネキシン41.8の特徴であるポリアミン依存型整流性がパターン形成に必須であることを示してきた。H25年度はまず、N末ドメインに変異が入ったコネキシンの機能解析を試みた。解析を行うに当たり、アメリカ・バッファローカレッジのSkerrett博士の技術指導を受け、オオサイトクランプの系を立ち上げた。また、ギャップ結合のシグナル及び下流因子の検出を目指してトランスクリプトーム解析を開始した。H25年度には野生型と変異体、それぞれ由来の黒色素胞間の遺伝子発現の比較を行った。さらに、生体内で黒色素胞、黄色素胞の間にギャップ結合が形成されている可能性があることから、電子顕微鏡を用いた色素細胞の形態観察を行い、細胞形態や空間配置に関して野生型と変異体で比較した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ギャップ結合の電気生理解析に関して、H25年度に機器類のセットアップを行い、また、H25年9月にオオサイトクランプ法を用いた解析に世界的に定評のあるBuffalo Collage、I.M.Scerrett博士の研究室を訪問し解析技術の習得を行った。H25年度後半にはデーターの取得が軌道に乗ってきている。トランスクリプトーム解析に関しても、少数の黒色素細胞からのcDNAライブラリーの作製、NGSによる解析と一連の解析を行い、条件検討が終了している。N末構造の解析に関してはいくつかの変異体に関してCD解析を行い、へリックス構造の有無を検討した。さらに、コネキシン変異体由来の黒色素胞の静止膜電位に関して野生型と変異体間で比較を行ったところ、変化は見られなかった。このため、コネキシンは静止膜電位の形成には関与していないものと考えられた。 一方で、色素細胞におけるコネキシンのタンパク質の検出に関しては、固定方法など試料の作製方法に関する検討を行ってきたが、現時点でその検出には至っておらず、H26年度の継続課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
ギャップ結合が細胞の集団サイズを規定するメカニズムとして、黄色素胞から黒色素胞へのシグナルの存在が重要であり、このシグナルをギャップ結合が仲介していると予想している。このメカニズムの解明を目指して以下の実験を進める。 H25年度に引き続き、電気生理解析、トランスクリプトーム解析を行う。トランスクリプトーム解析に関してはこれまでに野生型‐変異体それぞれの黒色素胞間での解析を行っており、H26年度前半で黄色素胞同士の比較を行う。また、得られたデータから候補となる遺伝子を抽出し、体表模様形成への関与に関して遺伝子組み換え体を作製してその機能を明らかとする。電気生理解析に関しては、H25年度中におおよそのデータをとっているので、H26年度前半で解析数を増やす。膜電位比較に関してはH25年度中に終了しているが、黄色素胞→黒色素胞の接触時の膜電位変化に関しては解析が終了しておらず、これを継続して行う。色素細胞におけるコネキシンタンパク質の検出に関して、ケミカルラベルが可能なタグ配列を導入したコネキシンを持つ遺伝子組み換えラインを作製したので、これを用いてタンパク質の検出を行う。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Involvement of Delta/Notch signaling in zebrafish adult pigment stripe patterning.2014
Author(s)
Hamada, H., Watanabe, M., Lau H. E., Nishida, T., Hasegawa, T., Parichy D. M. & Kondo, S.
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Journal Title
Development
Volume: 141
Pages: 318-324
DOI
Peer Reviewed
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