2013 Fiscal Year Annual Research Report
細胞スケールから器官まで、運動する細胞が織りなす協同現象のフィジカルバイオロジー
Publicly Offered Research
Project Area | Cross-talk between moving cells and microenvironment as a basis of emerging order in multicellular systems |
Project/Area Number |
25111736
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
柴田 達夫 独立行政法人理化学研究所, 発生・再生科学総合研究センター, 研究ユニットリーダー (10359888)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 細胞運動 / 走化性 / 集団運動 / 数理モデル |
Research Abstract |
本研究では、内部に極性や形態の変化などの自由度を持つ要素=細胞の集団が、1細胞のスケールを超えた秩序を作り出す協同現象が生まれる仕組みを、数理科学の方法を用いて解明する。平成25年度はそれに向けて、1細胞の運動を数理的に記述するための方法の開発に注力した。1.細胞性粘菌における細胞のダイナミックな形態変化を主成分分析やフーリエ級数を用いることで、比較的少数の自由度で記述する方法を開発した。(Baba et al. in preparation)。これを用いて、細胞の形態運動の時間変化を各主成分の係数の時間変化として表すことが出来、それらが時間的にどのように結合しているのかを調べることが出来るようになった。この結果を、走化性をしている細胞に適用し、外部に走化性誘引物質の勾配が細胞運動のどの成分をバイアスして方向性を作り出すのかを明らかにすることが出来る。 2.細胞極性と形態変形を加味した細胞運動の確率微分方程式モデルを提案し、細胞の形態変形が走化性の情報処理に及ぼす影響を示した。(Hiraiwa et al. (2014) under revision) 3.細胞性粘菌の走化性シグナル伝達系が自発的に一様性を破り、非対称性を作り出す仕組みが興奮性であることを実験的に示した。さらに、走化性誘引物質の勾配を検出するときも同じ興奮性の仕組みが使われていて、興奮性がバイアスされることで勾配が検出できることを示した。(Nishikawa et al. (2014) Biophys. J.)。また、自発的に細胞の非対称性を作り出す仕組みがあると、ロバストに勾配を検出できることを理論的に示した。(Shibata et al.(2013) Biophys. J.)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1細胞の運動と細胞外部の情報の処理についての理解が進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞性粘菌の集団運動に注目し、それを記述するための方法を開発する。また、上皮細胞における集団運動の研究を推進する。
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Research Products
(8 results)