2013 Fiscal Year Annual Research Report
細胞増殖抑制シグナルによる中心体ー基底小体変換機構
Publicly Offered Research
Project Area | Cilium-centrosome system regulating biosignal flows |
Project/Area Number |
25113501
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
水野 健作 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (70128396)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 細胞・組織 / シグナル伝達 / 繊毛 / 中心体 / Hippo経路 |
Research Abstract |
多くの動物細胞において、一次繊毛は細胞休止期(G0期)に形成され、増殖期には消失することが知られているが、増殖抑制シグナルによる一次繊毛の形成機構は不明である。細胞が休止期に移行すると、母中心小体近傍に膜小胞が集積・融合し、繊毛小胞が形成される。繊毛小胞が伸長し細胞膜と融合することで、一次繊毛が細胞膜上に表出し、中心体は基底小体に変換される。私達は、増殖抑制に関わるHippo(MST)経路の下流キナーゼであるNDRが、Rabin8のリン酸化を介して血清飢餓依存的な一次繊毛形成に関与することを見出した。本研究では、NDRとその下流因子による一次繊毛形成と中心体ー基底小体変換機構を解明し、増殖抑制シグナルと一次繊毛形成をつなぐシグナル伝達機構を解明することを目的として研究を行い、以下の結果を得た。1、NDRはPI4KIIIbのSer-277を特異的にリン酸化し、このリン酸化依存的に14-3-3gと結合することを見出した。2、PI4KIIIbの発現を抑制すると一次繊毛形成が抑制され、この抑制は野生型PI4KIIIbの発現により回復したが、非リン酸化変異体では回復しなかった。以上の結果から、NDRによるPI4KIIIbのSer-277のリン酸化は一次繊毛形成に関与していることが示された。また、3、NDRの活性化に関与するFurryが分裂期紡錘体微小管のアセチル化に関与することを明らかにした。また、4、中心体ー基底小体変換に重要な役割を持つTTBK2キナーゼについて、その結合蛋白質EB1とCep164との結合領域を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
NDRの下流因子として同定されたPI4KIIIbのリン酸化部位を決定し、その一次繊毛形成における役割を解明した。この結果は、NDRが、Rabin8だけでなく、複数の基質を標的として一次繊毛形成に関与していることを明らかにしたものである。また、中心体ー基底小体変換機構の解明において、この変換に関わるTTBK2キナーゼの増殖抑制シグナル依存的な中心体局在と活性化機構の解明は必須である。TTBK2の結合蛋白質との結合部位の同定は中心体ー基底小体変換機構解明のために重要な成果であると考えられる。以上の結果から、当初の計画以上に進展していると自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
NDRによるPI4KIIIbのリン酸化が一次繊毛形成に関与することを見出したが、その分子機構の解明が今後の重要な課題である。また、NDR1とNDR2はin vitroではRabin8とPI4KIIIbを同等にリン酸化するが、細胞内ではNDR2のみが一次繊毛形成に関与することを見出しており、NDR1とNDR2の一次繊毛形成における機能の違いの理由を今後解明していく。また、増殖抑制シグナルによるTTBK2の中心体局在化、活性化の機構解明は、中心体ー基底小体変換機構の解明において重要であり、今後さらに追求していく必要があると考えられる。
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