2013 Fiscal Year Annual Research Report
分裂期紡錘体極としての中心体機能・制御解析
Publicly Offered Research
Project Area | Cilium-centrosome system regulating biosignal flows |
Project/Area Number |
25113508
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大杉 美穂 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (00332586)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 中心体 / 微小管 / 紡錘体 / γチューブリン |
Outline of Annual Research Achievements |
中心体は動物細胞における主要な微小管形成中心(MTOC)である。分裂期には紡錘体極に位置し、紡錘体の形成や分裂方向の決定に重要な役割を果たしている。一方、卵ではMTOC活性のある中心体は失われており、中心体をもたない紡錘体により減数分裂が行われる。 研究代表者らは、体細胞株の紡錘体形成時に重要なはたらきをする中心体因子であるKizunaおよびKizunaの中心体局在化因子Cep72が、マウス卵では検出限界以下の発現量であることを見いだした。また、微小管重合起点を担うγtubulin遺伝子は、哺乳動物では2種類存在し、脳以外の正常組織体細胞ではγtubulin1のみが発現しているのに対し、卵ではγtubulin2が主であることを見いだした。本研究では紡錘体の双極性の確立と維持におけるこれらの分子の役割の解明を目指し、本年度は主にCep72ノックアウトマウスの表現型解析およびHeLa細胞を用いた2種類のγtubulinの機能(相違)解析を進めた。 Cep72-/-マウスは+/-マウスからメンデル則に従った出生率を示し、繁殖も可能で外見上明らかな表現型は示さなかった。-/-マウス由来の胎生線維芽細胞(MEF)の紡錘体形成や分裂期進行にも異常は認められなかった。しかし、-/-マウスの一部に臓器配置の異常が見られた。特異的抗体を用いたウエスタン解析からは精巣でのみCep72タンパク質の発現を確認しているが、RT-PCRによる解析では胎生7.5日胚において比較的高い発現を示しており、今後発現部位の特定を行う。 またHeLa細胞では細胞内のγtubulin1の減少をγtubulin2で補っても紡錘体が単極となってしまうが、マウス卵のγtubulinはすべて1となっても双極紡錘体が形成されることを見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ノックアウトマウスの作成により、これまでCep72の発現検出に使用していた抗体が類似のタンパク質を認識していることが明らかとなり、Cep72の真の発現組織(細胞)の特定に時間がかかった。また、Cep72ノックアウトマウスが低頻度で予想外の表現型を示す可能性が示唆されたが、マウス飼育環境の変化によりノックアウトマウスの出生数が減り、確認に至ることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
Cep72ノックアウトマウスは数が整い次第、表現型の確認を進める。また、本年度見いだしたγtubulin1とγtubulin2の機能の差異については、その原因が微小管の動態の違いにあることを示唆する結果を得ているが、その仮説を裏付ける実験を積み重ねるとともに、微小管の動態に違いが生じる原因として、1)微小管そのものの構造が異なる可能性 2)微小管の動態を制御する因子の作用が異なる可能性 を考え、in vitroの実験系および細胞内において微小管動態を制御する因子の局在を調べるなどにより検証していく。
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Research Products
(4 results)