2013 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光イメージングによる嗅覚系の機能的神経配線図の解読と再構築
Publicly Offered Research
Project Area | Mutli-dimensional fluorescence live imaging of cellular function and molecular activity |
Project/Area Number |
25113724
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
|
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
宮坂 信彦 独立行政法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 副チームリーダー (70332335)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 嗅覚 / 神経回路 / 脳 / 行動 / 遺伝子工学 / 蛍光タンパク質 / 可視化 / 国際情報交換 |
Research Abstract |
嗅覚は多くの動物にとって、食物の探索、危険の察知や繁殖など、個体の生存と種の維持に関わる重要な感覚システムである。匂いの源から発せられた匂い分子は、鼻の奥にある感覚ニューロンによって受け取られ、その情報は匂い分子の化学構造を基にした「匂い地図」として脳の嗅球に投影される。一方、動物が匂いの質に応じて行動するためには、高次中枢が嗅球の匂い地図を適切に読み取る必要がある。したがって、脳の匂い情報処理メカニズムを理解するためには、嗅球から高次中枢に至る詳細な神経配線図を得ることが必須である。本研究では、これまでに研究代表者らがゼブラフィッシュの稚魚において確立した「蛍光タンパク質による単一ニューロンの可視化技術」をさらに発展させ、嗅覚系の神経配線図の解読にアプローチした。成魚での単一嗅球ニューロン標識を目的として、Creリコンビナーゼ依存的に蛍光タンパク質の発現がRFPからGFPに変換されるトランスジェニック系統や、CFP, YFP, RFPのいずれか一つを確率論的に発現するトランスジェニック系統を複数作製した。これらを継代・選別することにより、蛍光タンパク質の発現強度や発現細胞集団について、成魚での単一ニューロン標識に適した系統を樹立した。また、シナプス前部に局在するSynaptophysin-GFP融合タンパク質を嗅球ニューロンで発現するトランスジェニック系統を樹立し、嗅球ニューロンと高次中枢ニューロンとのシナプス形成部位を可視化・特定した。さらに、シナプス形成の特異性の解析を目的として、膜タンパク質融合型splitGFPの相補フラグメントを、それぞれ異なるニューロン集団で発現可能なトランスジェニック系統を樹立した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
神経回路の可視化のため多種多様なトランスジェニック系統の作製を行っており、それぞれの目的に適した系統を樹立するため、継代・選別に予定していたよりも時間が必要であった。また、シナプス形成の特異性を解析するsplitGFPを用いたシステムや、活動依存的な回路の可視化システムについては、従来法の原理を基に大きな改良を加えているため、システム構築・検証に時間を要している。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度に得られたトランスジェニック系統を用いて、嗅球から高次中枢に至る二次嗅覚回路の配線図の解析を行う。従来法を基に大きな改良を行っているシステムについては、神経回路の配線様式がすでによく知られている「嗅上皮-嗅球」回路(一次嗅覚回路)を用いて、システムの検証を行う。システムの妥当性が確認できた場合は、速やかに二次嗅覚回路にシステムを適用し、詳細な解析を行う。
|