2013 Fiscal Year Annual Research Report
二光子顕微鏡による光刺激と二重FRET観察技術の開発とシナプス構造可塑性の解析
Publicly Offered Research
Project Area | Mutli-dimensional fluorescence live imaging of cellular function and molecular activity |
Project/Area Number |
25113726
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
実吉 岳郎 独立行政法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 研究員 (00556201)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | シナプス可塑性 |
Research Abstract |
本研究計画は二光子顕微鏡下でのシグナル伝達経路やクロストークを解析する方法論の確立を目指している。ラット海馬切片培養でのCA1領域神経細胞のシナプス構造可塑性をモデルに二光子顕微鏡を用いて、ケージドグルタミン酸のケージ解除、申請者の開発したPA-CaMKIIとPA-Racの二つの光活性化タンパク質によって引き起こされるタンパク質-タンパク質間相互作用や酵素活性を同一スパイン内イメージとしてDual FLIM-FRET法で解析するものである。平成25年度は、TIAM1-CaMKII相互作用とCaMKII活性の同時解析を目指したが、CaMKII活性用プローブが二光子FLIMではうまく働かない原理上の欠点が見つかり、現段階では同時解析には至っていない。一方、TIAM1がシナプス構造可塑性の主要分子である事をshRNAによるノックダウン、ドミナントネガティブ体による阻害で明らかにできた。また、上記のプローブの欠点のため、研究計画を一部変更し、TIAM1のCaMKII結合による変化を解析した。TIAM1内のCaMKII結合部位を研究提案書よりも小さく絞り込み、アミノ酸1540-1591にCamKIIが結合する事を同定した。現在、結合部位はアラニンスキャニングにより15アミノ酸程度まで落とし込めている。このアミノ酸1540-1591を海馬神経に発現させるとグルタミン酸刺激による構造可塑性が阻害される事からCaMKII-TIAM1相互作用が構造可塑性に寄与している事が示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、平成25年度に二重FLIM測定が可能かと判断したが、プローブの欠点が見つかり、その解析は遅れている。その欠点とは、一つ目のプローブのドナーであるGFPが発する蛍光が二つ目のドナーのmOrangeを励起する可能性である。蛍光寿命測定の際、パルス状の励起によるタイミングを利用してドナーの蛍光寿命を測定しているのだが、パルス状にならないGFPの蛍光はmOrangeの蛍光寿命測定を混乱させるからである。これを解決すべく二光子レーザーによりGFPと同時に励起できるLarge Stroke shift (LSS)-mOrangeをドナーにしたプローブを作成したので、本年度に検討し、その他のバイオセンサーに応用可能かの検討も行う。一方、スパイン内Racの活性化は平成25年度にFLIMによって測定する条件を決定したので、TIAM1-CaMKII相互作用との関連、他のRho-GTPaseの関与も検討可能な状態になっている。
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Strategy for Future Research Activity |
CaMKIIとTIAM1の相互作用とCamKII活性を同時にFLIMにより解析する。CaMKII活性はLSS-mOrange-CaMKII-MUTE2構築により測定する。また、Rho GTPaseはお互いの活性を制御すると考えられている。シナプス可塑性におけるRhoファミリー間クロストークについてケージドグルタミン酸刺激による活性の変化をGTPase活性、標的分子活性、アクチン再構築について解析する。また、光活性化型タンパク質によっておこる各シグナル分子活性、相互作用の変化を測定し、グルタミン酸刺激による変化との比較により、シグナルクロストーク、フィードバック機構について考察する。 Tiam1のCaMKII結合がGEF活性に与える影響を検討する。欠損変異体の解析によりCaMKIIはTiam1の1540-1591に結合し、さらにTiam1分子の1540-1591アミノ酸断片がシナプス構造可塑性を阻害する事が分かった。アラニンスキャンにより15アミノ酸程度まで絞り込めたので、CamKII-TIAM1相互作用の破壊を目的に細胞膜透過型TAT融合ペプチドを作成し、シナプス可塑性へ与える影響を検討する。また、合成ペプチドがRac活性へ与える影響も検討する。また、PA-RacやPA-CaMKIIが引き起こすスパイン肥大への影響を検討する。 なおCamKIIによるTIAM1のリン酸化部位については、質量分析計で解析し約50個ほどのリン酸化アミノ酸を同定している。リン酸化部位のアラニン変異体によるGEF活性およびスパイン肥大に与える影響を検討する。
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Research Products
(4 results)