2013 Fiscal Year Annual Research Report
表皮細胞形態形成時における細胞壁再構築機構の解析
Publicly Offered Research
Project Area | Plant cell wall as information-processing system |
Project/Area Number |
25114513
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
冨永 るみ 広島大学, 生物圏科学研究科, 講師 (20373334)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 遺伝子 / 植物 / 発現制御 / 発生・分化 / バイオテクノロジー |
Research Abstract |
本研究は、モデル植物と果樹培養体の表皮細胞(根毛・トライコーム)分化におけるペプチドホルモンの作用を、転写制御因子と細胞壁再構築因子を繋ぐ視点で明らかにすることを目指すものである。CLEペプチドが誘導するシロイヌナズナ表皮細胞分化に、分化制御転写因子群や、細胞壁関連遺伝子がどう関わるかを明らかにする。また、得られたデータを、果樹培養体を用いた解析に利用し、植物でのペプチドホルモン実用化の手がかりを得たいと考える。 シロイヌナズナの表皮細胞(根毛・トライコーム)分化に関わる転写因子による制御カスケードは、これまでかなり明らかになってきている。しかし、その下流で働くと考えられる細胞壁関連遺伝子群との関わりは良くわかっていない。そこで、シロイヌナズナ表皮細胞分化において、GL2の下流で働く細胞壁関連遺伝子の探索を試みた。GL2遺伝子下流の細胞壁再構築因子を網羅的に探索するために、gl2 突然変異体とGL2遺伝子過剰発現体から、RNAを調整し、Gene Chip解析を行った。その結果、細胞壁再構築機構関連の候補遺伝子をいくつかリストアップした。 ペプチドホルモンの果樹組織培養体(マンゴー、ブルーベリー、ブドウ等)への影響を明らかにするために、マンゴー、ブルーベリー、ブドウ等の組織培養体をCLEペプチド処理し、形態形成への影響の解析を進めている。一方、ブドウの果樹培養体を用いた解析により、CLV3のオーソログである5つのブドウ遺伝子(VvCLE6, VvCLE25-1, VvCLE25-2, VvCLE43, VvCLE TDIF)を同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおりGene Chip解析を行い、特にGL2過剰発現体との比較により、いくつか興味深い遺伝子の発現の変化を見出し、問題なく解析を進めている。また、果樹培養体を用いた実験についても、プレリミナリーな結果であるが、CLEペプチドによる根の成長への影響を示唆するデータを得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
GL2下流候補遺伝子の解析については、候補遺伝子のプロモーターGUS植物を作出し、細胞レベルでの発現パターンを詳細に観察する。また、これらの遺伝子が表皮細胞形成に及ぼす影響について、突然変異体や過剰発現体の解析により明らかにする。ペプチドホルモンの果樹培養体への影響については、シロイヌナズナ表皮細胞分化及び細胞壁関連遺伝子の配列を参考に、果樹におけるホモログ遺伝子を単離し、リアルタイムPCRで解析する。 以上の、根毛・トライコーム形態、細胞壁成分、発現遺伝子解析により得られた結果をふまえ、CLEペプチド処理が果樹培養体に与える影響について、シロイヌナズナと比較し、解明する。
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