2013 Fiscal Year Annual Research Report
根粒共生における宿主細胞と根粒菌の相互認識機構の解析
Publicly Offered Research
Project Area | Plant cell wall as information-processing system |
Project/Area Number |
25114519
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
寿崎 拓哉 基礎生物学研究所, 共生システム研究部門, 助教 (40575825)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 根粒共生 / 感染糸 / ミヤコグサ / 核内倍加 |
Outline of Annual Research Achievements |
マメ科植物と根粒菌の共生器官である根粒の初期発生過程では、根粒菌感染によって宿主植物根の一部の皮層細胞が脱分化し、細胞分裂が誘導され根粒原基が形成される。その一方で、根粒菌は感染糸と呼ばれる管状の構造を介して宿主細胞に侵入することができる。根粒共生の成立には、「根粒の発生」と「感染糸を介した根粒菌感染」が同調的に進行することが必要不可欠であることが知られているが、個々の事象の制御機構や、その同調性を制御する機構は未解明な点が多い。本研究は、根粒発生および感染糸形成の遺伝的制御機構を明らかにすることにより、根粒共生成立の基盤となる宿主細胞と根粒菌の間で行われる情報のやりとりの分子メカニズムを解明することを目的にしている。 マメ科のモデル植物ミヤコグサのvagrant infection thread 1 (vag1) 変異体では、根粒の形成が不全となる一方で、感染糸の形成は一見正常に起こる。しかし、個々の感染糸は表皮上をさまようように伸長し、皮層細胞に侵入することができない。このことから、vag1変異体では、根粒発生プログラムの異常だけでなく、根粒菌を宿主細胞へと誘導する機構も破綻していると考えられる。VAG1は核内倍加の進行に関与するDNAトポイソメラーゼVIの構成因子をコードしており、また、根粒初期発生の詳細な観察から、根粒発生に向けて運命転換する皮層細胞ではVAG1依存的に核内倍加が起こることが示唆された。さらに、根粒初期発生過程における宿主・根粒菌双方の遺伝子発現プロファイルを取得することを目的に、根粒菌感染初期の野生型とvag1変異体それぞれにおいてRNAseqを行い、vag1変異体において特異的に発現変動する宿主・根粒菌それぞれの遺伝子群を同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の中心であるvag1変異体の原因遺伝子を特定することができ、機能解析も進んだため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究により示唆された核内倍加と根粒形成の制御関係の詳細を多角的な視点から研究する。
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