2013 Fiscal Year Annual Research Report
EBウイルス関連胃癌.マイクロRNAによる感染・癌発生のスパイラル.
Publicly Offered Research
Project Area | Conversion of tumor-regulation vector to intercept oncogenic spiral accelerated by infection and inflammation |
Project/Area Number |
25114702
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
深山 正久 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70281293)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 胃癌 / EBウイルス / mciroRNA / exosome |
Research Abstract |
4つのサブテーマのもとで検討を行った。 ①EBウイルス関連胃癌の癌細胞でのmicroRNA異常(ウイルス由来、癌細胞由来):EBウイルス関連胃癌のEBウイルス由来microRNAのプロファイリングを行い、EBウイルス感染リンパ腫や鼻咽頭癌同様、BART7の高い発現を認めた。また、EBウイルス関連胃癌組織で高い発現を示す上位10位のmicroRNAは、実験的にEBウイルスを感染させた胃癌細胞株でも同様に発現されていることを確認した。現在、これらのmicroRNAの中から胃癌細胞において、抗アポトーシス作用を有するmicroRNAを同定し、EBウイルス関連胃癌における役割を検討している。 ②エクソソーム放出 :EBウイルス感染により、胃癌細胞で産生され細胞外に放出されるエクソソームが、いずれも親株に比し増加していることを見出した。EBNA1、EBER、LMP2A、BARF0の遺伝子導入では増加を再現できなかったことから、EBウイルス由来microRNA自体の役割も考慮する必要がある。また、エクソソームに含まれるEBウイルス由来microRNAの中ではBART7が多いが、一部のmicroRNAは細胞内に比し、エクソソーム内により多く含まれていることも明らかになった。 ③リンパ球などに取り込まれたmicroRNA、さらに④引き起こされた機能変化による癌細胞への影響: SNU719から放出されたエクソソームが、Tリンパ球細胞株、Jurkatに効率よく取込まれることを確認した。また、代表的miRNAのBART7をJurkat細胞に導入すると、細胞増殖を抑制した。現在、 Jurkat細胞を対象に、BART7導入前後にRISC (RNA induced silencing complex)の構成蛋白Ago2に対する抗体を用いて免疫沈降を行うことにより、BART7の標的となる遺伝子の同定を行っている。癌細胞に影響を与える候補分子の同定につなげたい。 連携研究者は国田朱子、牛久綾、阿部浩幸助教。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、以下の点で着実に研究を進めた。 ①EBウイルス関連胃癌の癌細胞でのmicroRNA異常:「EBウイルス関連胃癌組織で高い発現を示す上位10位のmicroRNAが実験的にEBウイルスを感染させた胃癌細胞株でも同様に発現されていた」事実を確認したことは、実験的感染系の有用性を確認した結果であり、今後の研究を進めるに当たり重要な結果である。 ②エクソソーム放出:EBウイルス感染により、胃癌細胞で産生され細胞外に放出されるエクソソームが、いずれも親株に比し増加していることは、ウイルスの戦略という視点からは非常に重要であり、その機構解明が必要である。とくにこれまでの潜在期蛋白に加え、cluster 1、cluster2のmicroRNA群について、発現ベクター(Raab-Traub教授供与)を用い、検討を加える予定である。 ③エクソソーム内microRNA、リンパ球などに取り込まれたmicroRNA:エクソソームに含まれるEBウイルス由来microRNAの中で濃縮されているものについて、免疫細胞を対象に優先的に機能変化を検討していく必要がある。 ④引き起こされた機能変化とそれによる癌細胞への影響:現在、 BART7導入Jurkat細胞に導入し、RISC (RNA induced silencing complex)の構成蛋白Ago2に対する抗体を用いて免疫沈降を行い、BART7の標的となる遺伝子の同定を行っているが、解析により癌細胞に影響を与える候補分子の同定につなげる必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
4つのサブテーマのもとでmicroRNA異常の全貌解明を目指す。 ①EBウイルス関連胃癌の癌細胞でのmicroRNA異常(ウイルス由来、癌細胞由来):今後、胃癌細胞に加え、不死化胃細胞GES1へのEBウイルス感染によって発癌初期におけるmicroRNA異常の意義について明らかにする必要がある。 ②分泌されたエクソソーム中のmicroRNA: cluster 1、cluster2のmicroRNA群導入による胃癌細胞機能変化、とくにエクソソーム放出への影響に関して検討を加える。 ③リンパ球などに取り込まれたmicroRNA:ウイルス由来microRNAの導入による発現プロフィール変化について、とくにエクソソームに濃縮されているEBウイルス由来microRNAに着目して検討していく必要がある。 ④引き起こされた機能変化による癌細胞への影響:EBウイルス由来microRNAのリンパ球における標的の探索を免疫沈降法で検討していくとともに、本年度はエクソソームの標的として骨髄由来間葉系幹細胞を対象に、③、④に挙げた一連の検討を加え、EBウイルス関連胃癌の微小環境制御機構について検討する。
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Research Products
(6 results)