2013 Fiscal Year Annual Research Report
加齢脳におけるメゾ回路の機能障害
Publicly Offered Research
Project Area | Mesoscopic neurocircuitry: towards understanding of the functional and structural basis of brain information processing |
Project/Area Number |
25115703
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
殿城 亜矢子 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (90645425)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 脳・神経科学 / 老化 / 記憶 |
Research Abstract |
ヒトを含む生物は老化に伴い記憶が低下するが、その分子メカニズムはまだ解明されていない。モデル系としてショウジョウバエの嗅覚記憶を用いて、加齢脳におけるメゾ回路機能障害を詳細に解析することで、老化に伴う記憶低下メカニズムの解明を目指す。 1.老化に伴う記憶低下の原因となるメゾ回路機能障害の同定 ハエの嗅覚記憶は学習から数分間持続する短期記憶、数時間持続する中期記憶、数日持続する長期記憶と時間軸に分けて主に三段階に分けられる。私たちは、これまでに中期記憶の加齢に伴う低下に着目して、DPM神経における中期記憶メモリートレースの低下が老齢個体における中期記憶の低下を引き起こす原因の一つであることを示唆してきた。今年度は、1)タンパク質合成依存的な長期記憶も加齢に伴い低下すること、2)キノコ体神経細胞で見られる長期記憶メモリートレースが加齢に伴い低下することを見出した。 2.加齢脳におけるメゾ回路の人工的活性化・遮断 加齢脳におけるメゾ回路の一部を人工的に活性化・遮断させることによって、老化に伴う記憶低下への影響を検証する。1)若齢脳のDPM神経細胞を時期特異的に人工的に遮断することで長期記憶が低下することより、DPM神経細胞がタンパク質合成依存的な長期記憶の形成に必要であることを見出した。2)老齢脳のDPM神経細胞を人工的に遮断しても長期記憶が低下しないことを見出した。すなわち、DPM神経細胞の機能低下によって加齢にともなうタンパク質合成依存的な長期記憶が低下していることを示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した内容に関して、ほぼ順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
加齢による記憶低下の原因となるメゾ回路を構成する特定神経細胞内で、加齢依存的に発現変化する遺伝子群を同定する。若齢個体と老齢個体の特定神経細胞を単離、もしくは脳全体を回収し、RNA-seqにより遺伝子プロファイリングを比較する。抽出した老化に伴い特定神経細胞特異的に発現変化する遺伝子群の中から、老化に伴う記憶の低下に関与する原因遺伝子を同定することを目指す。
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