2013 Fiscal Year Annual Research Report
匂い認識の神経システム機構
Publicly Offered Research
Project Area | Mesoscopic neurocircuitry: towards understanding of the functional and structural basis of brain information processing |
Project/Area Number |
25115732
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
風間 北斗 独立行政法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, チームリーダー (90546574)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 嗅覚情報処理 / イメージング / 情報解読 / ショウジョウバエ |
Research Abstract |
外界から情報を獲得する時、脳内では複数の神経細胞が活動する。従って、知覚を生み出すメカニズムを理解する為には、感覚情報を表現する神経活動総体を把握する必要がある。しかしながら、生体内において、細胞や回路素子の解像度で神経表現を俯瞰することは困難である。我々は、この目的を達成するために、数的にシンプルであるショウジョウバエ成虫の嗅覚回路を対象にしている。この回路では、嗅覚受容細胞、二次細胞、連合野に存在する三次細胞それぞれの階層において、ほぼ全ての神経細胞を遺伝的に標識したり操作したりできる。これまでに本回路の匂い応答は記述されてきたものの、それらが如何に知覚の生成に貢献するかはあまり調べられていない。そこで、匂い認識を支える神経システム機構を解明することを目標に研究を進めた。 本年度はまず、匂いの情報が嗅覚二次細胞群にどのように表現されているかを記録することに成功した。具体的には、カルシウム指示薬を遺伝的に嗅覚二次細胞群に発現させ、イメージングの手法を用いることで、その大半から活動を取った。一方、匂い刺激や視覚刺激を自由に制御できる仮想空間を作成し、針に固定された条件下で飛行する動物の匂い応答を詳細に解析した。これらのアプローチを組み合わせ、嗅覚二次細胞群の活動を見ることで、動物が匂いに対して逃げるか近寄るのか、後者の場合どの程度誘引されるのかといった、匂いの嗜好を定量的に解読するモデルの作成に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
匂いの神経表現と、匂いに対する行動を評価するシステムを構築した上、匂い知覚を解読するモデルの作成までもが完了したため。
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Strategy for Future Research Activity |
匂い知覚を解読するモデルが、新規の匂いに対する行動を予測する能力を有するかどうかを検証する。また、神経表現に加えた摂動が個体の行動に与える影響を見ることで、神経活動と匂い認識の因果関係を明らかにする。
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