2013 Fiscal Year Annual Research Report
うつ病における神経回路変容の抽出と解析
Publicly Offered Research
Project Area | Unraveling micro-endophenotypes of psychiatric disorders at the molecular, cellular and circuit levels. |
Project/Area Number |
25116523
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
田中 謙二 慶應義塾大学, 医学部, 特任准教授 (30329700)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 神経科学 / 精神医学 / カルシウム / うつ病 / 線条体 |
Research Abstract |
本研究では精神科治療薬の作用起点でもあるドパミン受容体2 型を発現する間接路神経細胞に焦点をあて、側坐核間接路神経細胞がうつ状態でどのような活動状態にあるのか、覚醒下で明らかにする。次に、その活動変容を正常マウスで再現させたときにどのようなうつ関連行動が起こるのか明らかにする。 側坐核は脳深部に存在するために、脳深部から神経活動を計測する実験系を構築する必要がある。この目的のために、細胞種特異的ににカルシウムセンサー: yellow cameleon nano50(YCnano)を発現する遺伝子改変マウスを作出した。まず比較的計測が容易で、神経活動パターンが知られている小脳プルキンエ細胞で動作確認を行った。麻酔下、脳固定下で小脳皮質に電気刺激を行ったところ、約10%の変化率をもってカルシウム濃度変化を捉えることができた。更なる改良が必要であるものの、光ファイバーと計測器のみで脳深部の特定細胞から信号を抽出する準備が整った。 次に側坐核間接路神経細胞特異的にチャネルロドプシンを発現する遺伝子改変マウスを作出した。両側側坐核に光ファイバーを刺入し、青色光を照射したところ、自由行動中のマウスが照射直後に制止することがわかった。背側線条体間接路の刺激によって行動制止が起こることが知られていることから、用いた光強度が強すぎて、乱反射による散乱光によって背側間接路細胞を刺激してしまった可能性が考えられた。非常に弱い照度でかつ細胞を興奮させる照射様式を構築する必要性が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光ファイバーと検出器だけを使って脳深部の活動を計測するという困難な技術課題について、予備実験が順調に進んでいる。遺伝子改変マウスを独自に樹立した強みを活かせている。 腹側線条体だけを光で活性化させることが想像していた以上に難しく、より弱い光で散乱を押さえ、かつターゲットする細胞を発火させる至適条件の検討が必要になっている。
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Strategy for Future Research Activity |
側坐核間接路神経細胞にYCNanoを発現するマウスをつかって脳深部から信号を抽出する。麻酔下、覚醒下と実験を進めていく。 社会的挫折モデルマウスの各ステージでの神経活動を計測していく。
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