2013 Fiscal Year Annual Research Report
精神疾患のプレシナプスエンドフェノタイプとその発現機構の解析
Publicly Offered Research
Project Area | Unraveling micro-endophenotypes of psychiatric disorders at the molecular, cellular and circuit levels. |
Project/Area Number |
25116525
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
小林 克典 日本医科大学, 医学部, 准教授 (10322041)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 神経科学 / 脳神経疾患 / 生理学 / 行動学 / シナプス |
Research Abstract |
これまでに解析した精神疾患モデルマウスにおいて、海馬歯状回-CA3シナプスにおける顕著なプレシナプス性の機能不全を確認した。本研究では、このプレシナプス性エンドフェノタイプの発現機構と一般性を検討している。 1.これまでに解析した精神疾患モデルマウスと共通するプレシナプスエンドフェノタイプを持つモデルを検出するため、マウスに対する各種薬物投与の効果を検討した。変化が検出された処置について、顕著な変化を示す条件を検討している。 2.既に基本的な解析を終了している電気けいれん刺激(ECS)処置によるモデル(論文投稿中)を用いて、プレシナプス変化の発現機構を解析した。細胞内Ca濃度調節機構の変化を示唆する結果を得ており、その点を詳細に検討するための薬理学的解析を行っている。 3.ECS処置によるモデルを用いて活動量、うつ様行動等の行動解析を行った。 4.精神疾患様の行動異常を示すAPCがん抑制遺伝子変異マウスの生理学的解析を行った。これまでに用いたモデルマウスと共通する行動異常を示すが、歯状回-CA3シナプスにおけるプレシナプスエンドフェノタイプは観察されなかった。海馬の他の領域における詳細な解析の結果、CA1領域における長期増強とテタヌス後増強の低下が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実施計画で予定した、新たなモデルのスクリーニング、エンドフェノタイプ発現機構の解析、行動解析は予定通り解析を開始し、結果が出始めている。バイオマーカーの探索のみ解析が進んでいないが、その可能性も想定した実験計画だったため、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
1.疾患モデルのスクリーニングを継続する。明らかな異常を持つモデルについて、その変化の発現機構の検討、関連するバイオマーカーの探索、行動との関係の解析を昨年度と同様に行う。 2.プレシナプスエンドフェノタイプの一般性を解析する。疾患モデルマウスにおいて、歯状回-CA3シナプス以外のシナプスでのプレシナプス機能変化を解析する。上記の解析から得られたバイオマーカーの発現を脳全体で検討し、変化が予想されるシナプスにおいて電気生理学解析を行う。バイオマーカーが同定できていない場合は、海馬の他の領域や大脳皮質などの電気生理学的知見が豊富な領域で解析を行う。変化が見られたシナプスに関して、それが成熟度の変化である可能性を発達期の電気生理解析と成熟ステージマーカー発現の解析によって検討する。 3.プレシナプスエンドフェノタイプの正常化を試みる。プレシナプス機能変化が薬物投与等によって正常な状態に回復するかどうかを検討する。その際の行動、バイオマーカーの変化を解析し、これらとプレシナプス機能との関係を明らかにする。昨年度の解析によって、苔状線維シナプスにおけるプレシナプス機能変化に細胞内Ca濃度調節機構の変化が関与することが示唆されている。細胞内Ca動態に関与すチャネル、トランスポーターなどの関与を受容体拮抗薬、イオンチャネル修飾物質、酵素阻害薬などを用いて検討する。また、臨床で一般的に用いられる抗精神病薬、気分安定薬等がシナプス機能等に及ぼす効果を同様にして解析し、現在の薬物治療との関連を解析する。
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[Journal Article] Targeted deletion of the C-terminus of the mouse adenomatous polyposis coli tumor suppressor results in neurologic phenotypes related to schizophrenia.2014
Author(s)
Takanori Onouchi, Katsunori Kobayashi, Kazuyoshi Sakai, Atsushi Shimomura, Ron Smits, Chiho Sumi-Ichinose, Masafumi Kurosumi, Keizo Takao, Ryuji Nomura, Akiko Iizuka-Kogo, Hidenori Suzuki, Kazunao Kondo, Tetsu Akiyama, Tsuyoshi Miyakawa, Riccardo Fodde, Takao Senda
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Journal Title
Molecular Brain
Volume: 7
Pages: 21
DOI
Peer Reviewed
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