2013 Fiscal Year Annual Research Report
モーター超分子複合体の分子構築と運動制御機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Harmonized supramolecular machinery for motility and its diversity |
Project/Area Number |
25117503
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
豊島 陽子 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (40158043)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | ダイニン / ダイナクチン / p150 / CC1 / アンテナ構造 / 運動制御機構 / 金ナノ粒子標識 / 電子顕微鏡 |
Research Abstract |
超分子複合体や運動装置において、構成タンパク質サブユニットを同定し、複合体中のサブユニットの分子数やジオメトリー、サブユニット間の相互作用の様態を明らかにすることは重要である。モーター超分子複合体の運動メカニズムの解明のために、複合体の分子構築を明らかにすることを目的とし、ダイニン尾部とダイナクチンサイドアームを対象にそのサブユニット構造を明らかにした。 ダイニン尾部は、ダイニン重鎖のN末側約3分の1のほか、中間鎖、中間軽鎖、3種の軽鎖からなる複合体である。これまでにHisタグの導入とNTA金ナノ粒子の得意結合により明らかにしてきたダイニン尾部の構造について、さらに詳細な解析を行い、3種類の軽鎖の位置を同定した。その結果、我々が最近提案した中間鎖の向き(従来の説とは逆向き)に合致するものであり、尾部の3つのドメインのうちの中央ドメインに位置することが明らかになった。また、最も頭部に近いドメインは、重鎖のアミノ酸936から1300の領域の寄与が大きいことがわかった。 ダイナクチン複合体のサブユニットであるp150について、その5つのドメインの前後にHisタグを導入してNTA金ナノ粒子で標識したものと、各ドメインの欠損ミュータントの電子顕微鏡像を解析した結果、CC1ドメインは頭部から突き出した長さ30nmほどのアンテナ構造をとること、N末ドメインとHRドメインがともに頭部を形成すること、CC2ドメインはネックを形成すること、C末ドメインはp50およびP24とともにショルダーを形成すること、を見出した。このようにして、ダイナクチン複合体のうちArp1ロッドから突き出しているサイドアームの全容を明らかにし、特に、ダイニン結合部位であるCC1が頭部から大きく突き出していることは、積荷とダイニンを結ぶ役割のダイナクチンのダイニン運動制御の機構解明の大きな前進となった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ダイナクチンp150のダイニン結合部位であるCC1について、アンテナ構造をとることを新たに同定したことは、これまでのダイニン・ダイナクチン相互作用の分子メカニズムの理解を大きく変更させる重要な進展である。 さらに、CC1がダイニンの運動活性を阻害するという予備的な知見も得ており、ダイナクチンがダイニンの運動機能を活性化するのか不活性化するのか、制御の原点に立ち返った検証が必要であり、これまでの常識を覆す知見を得ることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
ダイナクチンp150のCC1部分は、長いコイルドコイルが中央で折り返した構造をとると予測されるが、p150は二量体として存在するので、1本の逆並行のコイルドコイルが2本より合わさったものであるか、あるいは2本の並行コイルドコイルが折れ曲がったものであるのかを明らかにする。さらに折れ曲がり点とコイルのレジストリを明らかにし、ダイニンとの相互作用の基本となるダイナクチン側の構造基盤を明らかにする。 これまでCC1は細胞中で過剰発現するとダイナクチン複合体に変わってダイニンに結合するためにダイニンの細胞内機能を阻害すると考えられてきたが、我々の予備的な実験では、CC1はダイニンのin vitro 運動活性を直接阻害することが見出された。このことは、CC1の結合自身がダイニン機能を不活性化することを示しており、果たして、ダイナクチン複合体はダイニンの運動を活性化するのか、不活性化するのについて、また、ダイニン尾部に結合したダイナクチンがどのようにダイニン頭部のモーター活性を制御できるのかについて、明らかにする。
|
-
[Journal Article] Formation of ring-shaped microtubule assemblies through active self-organization on dynein.2014
Author(s)
Ito, M., Arif Md. Rashedul Kabir, A.,M.,R. Inoue, D., Torisawa, T, Toyoshima, Y.Y., Sada1, K. & Kakugo, A
-
Journal Title
Polymer J.
Volume: 46
Pages: 220-225
DOI
Peer Reviewed
-
[Journal Article] Sea lily muscle lacks a troponin-regulatory system, while it contains paramyosin.2014
Author(s)
Obinata, T., Amemiya, S., Takai, R., Sato, N., Ichikawa, M. & Toyoshima, Y.Y.
-
Journal Title
Zool. Sci.
Volume: 31
Pages: 122-128
DOI
Peer Reviewed
-
[Journal Article] Measuring collective transport by defined numbers of processive and nonprocessive kinesin motors.2013
Author(s)
Furuta, K., Furuta, A., Toyoshima, Y.Y., Amino, M., Oiwa, K., & Kojima, H.
-
Journal Title
Proc Natl Acad Sci U S A. 110, 501-506.
Volume: 110
Pages: 501-506
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
[Presentation] Shin Yamaguchi, Kei Saito, Miki Sutoh, Takayuki Nishizaka, Yoko Y Toyoshima, Junichiro Yajima,2014
Author(s)
Shin Yamaguchi, Kei Saito, Miki Sutoh, Takayuki Nishizaka, Yoko Y Toyoshima, Junichiro Yajima,
Organizer
Biophysical Society 58th Annual Meeting
Place of Presentation
San Francisco, USA
Year and Date
20140215-20140219
-
[Presentation] Self-regulation of cytoplasmic dynein2013
Author(s)
Ken'ya Furuta, Takayuki Torisawa, Akane Furuta, Muneyoshi Ichikawa, Kei Saito, Kauzuhiro Oiwa, Hiroaki Kojima, Yoko Toyoshima
Organizer
American Society for Cell Biology 2013 Annual Meeting
Place of Presentation
New Orleans, USA
Year and Date
20131214-20131218
-
-
-
-
[Presentation] Self-regulation of cytoplasmic dynein2013
Author(s)
Ken’ya Furuta, Takayuyki Torisawa, Akane Furuta, Muneyoshi Ichikawa, Kei Saito, Kazuhiro Oiwa, Hiroaki Kojima, Yoko Toyoshima
Organizer
International Workshop Dynein2013
Place of Presentation
兵庫県、神戸オルビスホール
Year and Date
20131031-20131103
Invited
-
-
-
-
-