2013 Fiscal Year Annual Research Report
黄色ブドウ球菌の新規移動様式の分子機構
Publicly Offered Research
Project Area | Harmonized supramolecular machinery for motility and its diversity |
Project/Area Number |
25117507
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
垣内 力 東京大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (60420238)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 黄色ブドウ球菌 / コロニースプレッディング / 血清 / 高分子リポタンパク質 / アルブミン |
Research Abstract |
黄色ブドウ球菌は軟寒天培地上で巨大コロニーを形成する。我々はこの現象をコロニースプレッディングと命名している。本研究において我々は黄色ブドウ球菌のコロニースプレッディングに影響を与える宿主因子の同定を試みた。黄色ブドウ球菌のコロニースプレッディングはウシ血清を軟寒天培地に添加することにより促進された。ウシ血清を液体培地に添加しても黄色ブドウ球菌の増殖は促進されなかった。従って、ウシ血清によるコロニースプレッディング促進は細胞増殖の促進には依らないことが示唆された。 様々な黄色ブドウ球菌株のコロニースプレッディングの血清に対する応答性を検討したところ、臨床分離されたメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA) 40株のうち、促進倍率が5倍未満の株が85%、6倍以上促進される株が15%見いだされた。また、市中型MRSAの2株のコロニースプレッディングは血清添加により6倍以上促進された。以上の結果は、血清に対するコロニースプレッディング応答性を規定する黄色ブドウ球菌の遺伝的要因が多様であることを示唆している。 ゲル濾過カラムクロマトグラフィーによりウシ血清を分画したところ、コロニースプレッディング促進活性は高分子量側と低分子量側に分離されて見いだされた。低分子画分のコロニースプレッディング促進活性を担う因子としてアルブミンを精製した。また、高分子画分のコロニースプレッディング促進活性を担う因子として高密度リポタンパク質粒子を精製した。高密度リポタンパク質粒子から脂質を除去すると、コロニースプレッディング促進活性は失われた。さらに、高分子リポタンパク質粒子に含有される主要リン脂質であるホスファチジルコリンはコロニースプレッディング促進活性を示した。以上の結果は、黄色ブドウ球菌のコロニースプレッディングが哺乳類血清中のアルブミン及び高分子リポタンパク質粒子により促進されることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
宿主動物因子によるコロニースプレッディング調節に関して研究を行い、哺乳類血清中のコロニースプレッディングを促進する因子の同定に成功した。本研究成果は、黄色ブドウ球菌のコロニースプレッディングが宿主環境下で促進されることを示唆する。
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Strategy for Future Research Activity |
黄色ブドウ球菌が細胞外に分泌する毒素(PSMα)のコロニースプレッディングにおける機能を明らかにする。特に、毒素のトランスポーターの同定と機能解明によって、細胞内と細胞外の毒素の機能を明らかにする予定である。
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Research Products
(22 results)
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[Journal Article] Impact of psm-mec in the mobile genetic element on the clinical characteristics and outcome of SCCmec-II methicillin-resistant Staphylococcus aureus bacteraemia in Japan.2014
Author(s)
Aoyagi T, Kaito C, Sekimizu K, Omae Y, Saito Y, Mao H, Inomata S, Hatta M, Endo S, Kanamori H, Gu Y, Tokuda K, Yano H, Kitagawa M, Kaku M.
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Journal Title
Clin Microbiol Infect.
Volume: in press
Pages: in press
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Mobile genetic element SCCmec-encoded psm-mec RNA suppresses translation of agrA and attenuates MRSA virulence.2013
Author(s)
Kaito C, Saito Y, Ikuo M, Omae Y, Mao H, Nagano G, Fujiyuki T, Numata S, Han X, Obata K, Hasegawa S, Yamaguchi H, Inokuchi K, Ito T, Hiramatsu K, Sekimizu K.
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Journal Title
PLoS Pathog.
Volume: 9
Pages: e1003269
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] 新規機能性RNA psm-mecはagrA遺伝子の翻訳を抑制してメチシリン耐性黄色ブドウ球菌の病原性を抑制する2013
Author(s)
幾尾 真理子, 齋藤 裕樹, 大前 陽輔, 毛 瀚, 長野 源太郎, 藤幸 知子, 沼田 俊介, 韓 笑, 小幡 佳津明, 長谷川 節雄, 山口 博樹, 猪口 孝一, 伊藤 輝代, 平松 啓一, 伊藤 孝司, 関水 和久, 垣内 力
Organizer
第86回日本生化学会大会
Place of Presentation
神奈川県 横浜市
Year and Date
20130911-20130913
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