2013 Fiscal Year Annual Research Report
ESR動的解析法による筋運動スイッチマシナリーと常磁性イオン流モーターの解明
Publicly Offered Research
Project Area | Harmonized supramolecular machinery for motility and its diversity |
Project/Area Number |
25117512
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
荒田 敏昭 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (70151165)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | トロポミオシン / トロポニン / アクチン / イオン膜輸送 / 電子スピン共鳴 / P型ATPase / 銅イオン配位結合 / スピンラベル |
Outline of Annual Research Achievements |
電子スピン共鳴を用いて蛋白質の水溶液中での動的構造を原子レベルで解析することを目指す。1)筋運動スイッチマシナリー:トロポミオシン(Tm)全長にわたってアミノ酸をシステインに変異させてスピンラベルSL標識し、筋肉の細いフィラメント(超分子複合体)を再構成して測定したSL側鎖運動性はCaイオンによって全く変化しない。一方、アクトミオシン硬直複合体ではCaによるSL変化がおこり、Tm周辺構造が締まる。「強く結合したアクトミオシン複合体のATP分解反応が、この構造変化を通してCa調節される」という新しい仮説を提案した(Ueda et al. 2013)。現在アクチンとTm間のSL(またはMn)-SL距離の精密測定を行っている。2)常磁性イオン流モーター:P型ATPaseは可逆的にイオン流出(流入)とATP分解(合成)を行い、大きいドメイン構造の変化をともなう。細菌鞭毛やF1のイオン流と回転・構造変化との間のエネルギー変換とは共通原理があると考えられる。そこで、銅イオン輸送ATPase であるThermus thermophiles TTHA1733 (TtCopB)を発現精製し、結合したCu2+(II)のみのESRスペクトルを、PH7.4で遊離のCu2+(II)をESR-silentにすることにより取得できるようになった。来年度は、結合数測定を行うとともに、Cu2+が結合したESRスペクトルのg値、超微細結合定数から、Cu2+(II)配位構造が明らかにし、ATP分解中のCu2+(II)がトランスポートされる際におこる、Cu結合強度の変化にともなう配位構造の変化を調べる計画である。CopBのアミノ酸をスピンラベルSL標識し、SLと常磁性Cu2+(II)の距離をマッピングしイオンの位置を決定することが最終目標となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ATPaseに結合したCuのESRスペクトルを測定するには、free Cuのスペクトルを消去する必要が生じ、さらにスペクトル強度が試料ごとに誤差が出ることがわかり、それらの条件検討が必要になった。研究協力した学部4年学生の技術が未熟であるため、解決に手間取った。
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Strategy for Future Research Activity |
研究協力した学部4年生がCu-ATPaseのESR測定に未熟であり、予想以上に時間を要したと考え、平成26年度は、経験のあるポスドクを雇用して、迅速に実験を遂行する計画である。
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Research Products
(18 results)