2013 Fiscal Year Annual Research Report
ミドリムシにおける走光性制御マシナリーの解明
Publicly Offered Research
Project Area | Harmonized supramolecular machinery for motility and its diversity |
Project/Area Number |
25117513
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岩崎 憲治 大阪大学, たんぱく質研究所, 准教授 (20342751)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ミドリムシ / 光センサー / 構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
ミドリムシ光センサーオルガネラPFBをその結晶性を利用して高分解能構造解析することを計画した。これは、薄切したPFBの電子線トモグラフィーでは得られない原子レベルの構造解析を目指したものであった。組精製したPFBにSpring-8のビームラインを利用してX線を照射したが、低角においてもCEMOVISの結果から予測されるような回折点は得られず、脂質由来と思われる回折が得られただけであった。よって、高品質のPFBを単離精製する必要があると判断し、この確立を試みた。しかし、ミドリムシにおける膜成分の多さは、広く知られているところであり、葉緑体やペリクル由来と思われる膜成分が精製標品に混入してしまい、その精製度向上は困難を極めた。非常に精製度の高いPFBを回収しようとすると絶対量が極端に少なくなる。このため、ミドリムシの高密度培養を考え、より適した培養液粗製も共同研究者から情報を得たが、廃液制限で行えず、断念した。このような中で、細胞破砕時における工夫等を行うことにより、若干の改善を得ることができた。ミドリムシの破砕には超音波破砕法を用いたが、オルガネラの分解を防ぐために細胞破砕時の温度調製、破砕の強さなどについて検討を重ね、よりマイルドな条件での細胞破砕法を確立した。また、その後のクロマトグラフィーによる精製でもDTTを用いることなどから、還元剤としてDTTを加えるなどの工夫も行い、オルガネラの安定性を高めることができた。その結果、PFB由来のバンドがメインバンドであり従来より夾雑物の少ない電気泳動パターンを得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
PFBの高品質精製標品を得ることができず、そのために計画が大幅に遅れてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
PFB全体の高分解能構造取得と同時に構成成分であるPACの原子構造を求めるという計画を変更し、PACを精製し、その原子構造を求めることを第一の目標とする。これは、オルガネラとしてPFBを破壊せずに単離精製することは難しいが、一旦PFBを破砕すると、その後の精製は、タンパク質精製法に従い、改善が期待できることを根拠としている。PACの原子構造を求めることは、光センシングによって如何にアデニル酸シクラーゼ活性が引き起こされているかそのメカニズムを化学レベルで明らかにする上で極めて重要な課題であり、本課題申請時の目標の一つである。
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