2014 Fiscal Year Annual Research Report
真核生物鞭毛の滑走運動:その生理的意味とメカニズム
Publicly Offered Research
Project Area | Harmonized supramolecular machinery for motility and its diversity |
Project/Area Number |
25117521
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
神谷 律 学習院大学, 理学部, 客員教授 (10124314)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 細胞運動 / 鞭毛 / 滑走 / 膜タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
ある種の真核生物鞭毛・繊毛は表面膜と固体表面との間で滑走運動を行うことが知られている。最近、緑藻クラミドモナスにおいて、そのような滑走運動が鞭毛内輸送系(IFT)によって担われていることが確実になってきた。本研究では、その生理的意味を探るとともに、さらに運動機構に迫ることをめざした。その目的のために、非運動性突然変異株において滑走運動による細胞の移動を長時間にわたって記録する方法を確立し、細胞がその運動によってなんらかの行動を示すか否かを検討した。しかしながら、一方向からの光照射でも、温度勾配の下でも、滑走運動には特定の方向性は見られなかった。したがって、クラミドモナスが鞭毛滑走運動によって生理的意味のある行動を行う可能性は低いと考えられる。 一方、本研究の過程で、鞭毛表面に付着して滑走している微小なプラスチックビーズが、時間とともに凝集塊を形成し、やがて鞭毛から外れるという新奇な現象が観察された。凝集塊は蛍光標識したレクチンで染まることが判明したため、この現象は鞭毛上の何らかの糖タンパク質が外れて、ビーズに付着することによって起こると結論した。すなわち、鞭毛膜上の糖タンパク質は、これまでの想像を超えてダイナミックな挙動を示すものと考えられる。この現象は細胞が長距離にわたって滑走運動を行う機構の一部として重要であろう。 また本研究では現象の一般性をさぐるため、ウニ初期胚に見られる非運動性繊毛にビーズを付着させて、運動性を検討した。その結果、少数例ではあるが、ビーズが繊毛上を両方向に運動する現象が観察された。したがって、鞭毛繊毛の表面運動は広い生物種にわたって保存されていることが示唆され、鞭毛繊毛の生理機能の一つとして、今後さらに研究される価値があると考えられる。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Structure of the microtubule-binding domain of flagellar dynein2014
Author(s)
Kato, Y., Yagi, T., Harris, S.A., Ohki, S., Yura, K., 10, Shimizu, Y., Honda, S., Kamiya, R., Burgess, S.A., and Tanokura, M.
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Journal Title
Structure
Volume: 22
Pages: 1628-1638
Peer Reviewed
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