2013 Fiscal Year Annual Research Report
筋原線維形成のシグナル伝達機構の包括的解明とその破綻による筋疾患・心筋症
Publicly Offered Research
Project Area | Regulation of signal transduction by post-translational modifications and its pathogenic dysregulation |
Project/Area Number |
25117706
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
遠藤 剛 千葉大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (30194038)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | シグナル伝達 / IGF-1シグナリング / 筋原線維 / アクチン線維 / N-WASP / nebulin / 筋疾患 / 心筋症 |
Research Abstract |
骨格筋筋原線維のアクチン線維形成は,次のようにして起こることをこれまでに明らかにした.IGF-1シグナリングにより,nebulin (Neb)のC末端のSH3ドメイン(Z帯に局在する)にN-WASPが結合し,両者の間でアクチン重合核が形成される.さらにNebに沿ってZ帯からアクチンが重合する.Neb遺伝子の突然変異は先天性筋疾患ネマリンミオパチー(NM)の原因となる.これらの突然変異の中では,特にSH3ドメインを含むC末端側の欠損につながるものが多い.そこでNeb C末端のSH3ドメインの機能的な役割を明らかにするために,SH3ドメインを欠損させたNebΔSH3ノックイン(KI)マウスの解析を行った.これらのマウスでは,一見したところアクチン線維や筋原線維および骨格筋の異常はみられなかった.またN-WASPもZ帯に局在していた.しかしKIマウスの骨格筋では,伸張性収縮を反復して行った後の等尺性張力が低下していた.すなわち伸張性収縮による筋損傷を受けやすくなっていた.この筋損傷がNMにつながる可能性が考えられる.さらにこれらのKIマウスの骨格筋に大きな負荷を長期間にわたってかけた場合には,典型的なNM様の表現型が現れる可能性が考えられる.一方,心筋においては,Nebの代わりに存在するnebulette (Nebt)のSH3ドメインにN-WASPが結合して,N-WASPはZ帯に局在化し,アクチン線維形成に働いていた.骨格筋と心筋におけるN-WASPを介したアクチン線維形成の破綻が,筋疾患や心筋症につながることを実証するために,骨格筋や心筋特異的な誘導性N-WASPコンディショナルノックアウト(cKO)マウスの作製を進めている.これまでに,N-WASPゲノムとターゲティングベクターが相同組換えを起こしたES細胞を樹立し,これらのES細胞を用いてキメラマウスを作製した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画にある,N-WASPとLmod2のリン酸化部位の同定を行った.これらのリン酸化とプロテアソームによる分解との関係を明らかにすることが今後の課題である.またマウス心筋にAAVベクターを用いてEGFP-アクチンを発現させ,アクチン線維の動態を解析した.AAVベクターでLmod2 siRNAを発現させてノックダウンし,先端の伸長が阻害されるかどうかを明らかにすることが今後の課題である.一方,骨格筋や心筋特異的な誘導性N-WASP cKOマウスの作製については,キメラマウスが得られており,順調に進行している.さらに当初の計画以上に,NebΔSH3 KIマウスの解析を行い,その骨格筋では伸張性収縮による筋損傷を受けやすくなっていることを明らかにした.これがNeb SH3ドメインの欠損によるNMの発症につながると考えられる.したがって全体としてみると,おおむね順調に進展していると言えよう.
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Strategy for Future Research Activity |
NebΔSH3 KIマウスの骨格筋に大きな負荷を長期間にわたってかけた場合には,NM様の表現型が現れるかどうかを解析する.さらにSH3ドメインを欠損しているにもかかわらず,N-WASPがZ帯に局在する機構を明らかにする. 心筋ではNebは存在せず,代わりにNebtが心筋特異的に発現している.Nebt KOマウスを解析して,心筋筋原線維やアクチン線維の形成が異常になっているかどうかを明らかにする.またNebtの突然変異により拡張型心筋症(DCM)が発症することが報告されているので,Nebt KOマウスにおいてDCMの表現型が現れるかどうかを解析する. 骨格筋や心筋特異的な誘導性N-WASP cKOマウスを作製し,骨格筋におけるNeb-N-WASP複合体形成を介したアクチン線維形成の破綻により,NMの表現型が現れるかどうかを明らかにする.また心筋におけるNebt-N-WASP複合体形成を介したアクチン線維形成の破綻により,DCMの表現型が現れるかどうかを明らかにする.
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] The nebulin SH3 domain is dispensable for normal skeletal muscle structure but is required for effective active load bearing in mouse2013
Author(s)
Yamamoto, D. L., Vitiello, C., Zhang, J., Gokhin, D. S., Castaldi, A., Coulis, G., Piaser, F., Filomena, M. C., Eggenhuizen, P. J., Kunderfranco, P., Camerini, S., Takano, K., Endo, T., Crescenzi, M., Luther, P., Lieber, R. L., Chen, J., Bang, M.-L.
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Journal Title
J. Cell Sci.
Volume: 126
Pages: 5477-5489
DOI
Peer Reviewed
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