2013 Fiscal Year Annual Research Report
リソソームの制御におけるmTORC1の機能解析
Publicly Offered Research
Project Area | Regulation of signal transduction by post-translational modifications and its pathogenic dysregulation |
Project/Area Number |
25117716
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡田 雅人 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (10177058)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 細胞・組織 / シグナル伝達 / プロテオーム / 酵素 / 脂質 |
Research Abstract |
細胞の成長や生存維持において、リソソーム膜表面に局在するタンパク質キナーゼ複合体mTORC1が中心的な役割を担うことが明らかにされている。我々は、mTORC1がリソソームに局在するために必須のアダプター複合体(Ragulator)の膜アンカータンパク質p18を同定し、その機能解析を進めている。これまでの解析から、リソソーム上のp18-mTORC1経路がリソソームの成熟や機能にも重要な役割を担うことを見出してきた。特に、p18-mTORC1がリソソームとオートファゴソームや後期エンドソームとの融合を触媒することにより、リソソームを介する分解・異化作用を制御することを明らかにしている。そこで本研究では、リソソームの制御におけるp18-mTORC1の標的分子を同定することにより、その作用機序及び生理的意義を明らかにすることを目的とした研究を行なった。 まず、質量分析計を用いたプロテオミクス解析(SILAC法)によりリソソームにおけるmTORC1の標的候補タンパク質の同定を行なった。その結果、p18に依存してリソソーム画分に濃縮される蛋白質を複数種同定することができた。得られた候補タンパク質がmTORC1の直接的な基質となるか否か、現在検証している。 また、リソソームの膜融合反応に重要な役割を担うことが知られているHOPS複合体の構成分子(Vps11, 16, 18, 33A, 33B, 39, CCZ1, MON1)の発現系を作製し、p18-mTORC1依存的なリン酸化の検出を試みた。現在、それらの生理的な意義について検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度の研究計画として以下の3つの課題を立案した。 (1)p18欠損細胞等を用いて、質量分析計を用いたプロテオミクス解析によりリソソームにおけるmTORC1の標的候補リン酸化タンパク質の同定を行なう。(2)得られた候補タンパク質がmTORC1の直接的な基質となるか否かを、リコンビナントタンパク質を用いたin vitroキナーゼアッセイにより検証し、リン酸化部位を同定する。(3)リン酸化の生理的意義を検証するために、候補タンパク質をノックダウン(アウト)した細胞系を用いた機能解析を行なう。 計画1については、SILAC法によりp18に依存してリソソーム画分に定量的に濃縮される蛋白質を同定した。しかしながら、それらの分子がmTORC1の基質となるか否かの検討に時間が掛かっており、特異的のリン酸化部位の同定(計画2)やノックダウンによる機能解析(計画3)にはまだ至っていない。そこで、次年度にバックアップとして計画していた「リソソーム融合に関わる既知分子との関係を検討する。」研究を先行して行うこととした。そのために、既に膜融合、特にtetheringの段階で重要な役割を担うことが報告されているHOPS複合体に注目し、主要な8つの構成分子(Vps11, 16, 18, 33A, 33B, 39, CCZ1, MON1)の発現系を構築して、それらがp18-mTORC1の標的となるか否か検討することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
本課題の最終目標を達成するために、まずプロテオミクス解析をさらに詳細に行う。特に本年度には、リン酸化ペプチドを濃縮して同定する方法を導入することにより、よりダイレクトにリン酸化タンパク質の同定を試みる。また、mTORC1の下流キナーゼ経路の活性化を介した融合関連分子の遺伝子発現による二次的な現象である可能をも考慮して、既に解析が済んでいるDNAマイクロアレイのデータを検討し直す予定である。さらに、HOPS複合体以外のSNARE関連タンパク質についてもそれらのリン酸化状態や発現動態をより詳細に検討する。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Inhibition of NPC1L1 by ezetimibe activates autophagy in human hepatocyte and reduces mutant α1-antitrypsin Z deposition.2014
Author(s)
Yamamura T, Ohsaki Y, Suzuki M, Shinohara Y, Tatematsu T, Cheng J, Okada M, Ohmiya N, Hirooka Y, Goto H, Fujimoto T
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Journal Title
Hepatology
Volume: 59
Pages: 1591-1599
DOI
Peer Reviewed
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