2013 Fiscal Year Annual Research Report
薬剤投与により変化する細胞内ダイナミクスの解析
Publicly Offered Research
Project Area | Regulation of signal transduction by post-translational modifications and its pathogenic dysregulation |
Project/Area Number |
25117727
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
野村 真樹 京都大学, iPS細胞研究所, 研究員 (90552688)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | トポロジカルデータ解析 / 単一細胞遺伝子発現計測 |
Research Abstract |
本研究では、多数の単一細胞から計測したデータから細胞システムが従っている力学構造を調べるためのデータ解析手法を開発する。本年度は単一細胞遺伝子発現データを用いたデータ解析手法として以下に述べる方法の検討を行った。 1. 時間遅れを持って発現する遺伝子セットを得るためにPersistent Homology理論の適用を検討した。微分方程式から生成した3変数の人工データを用いて検証を行い、実データに適用した結果、いくつかの候補遺伝子セットを得ることが出来た。 2. iPS細胞の状態と多能性関連遺伝子の一つであるNANOGの関係を調べるために、iPS細胞から計測した単一細胞遺伝子発現データを用いてトポロジカルデータ解析を行った。NANOGの発現量と細胞周期の関連を示唆する結果を得ている。 3. iPS細胞から心筋への分化過程を計測した単一細胞遺伝子発現データに関してトポロジカルデータ解析と相関解析を行った。トポロジカルデータ解析の適用では増殖と分化の関連性を示唆する結果が得られている。遺伝子発現に関する相関解析としてはweighted gene co-expression network analysisを適用して遺伝子モジュールを得た後、遺伝子モジュールの経時変化の可視化を行った。その結果、心筋分化に関連する遺伝子の相関関係が経時的に変化する様子がとらえられている。 準備的な研究結果ではあるが、これらの成果の一部は国内外の学会や研究会などで発表を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では力学系の視点に基づいて単一細胞データの解析手法を開発している。 当初はイメージング計測を用いて多数の単一細胞から5-10分子種を測定した後、トポロジカルデータ解析を行う予定であったが、所属機関の移転に伴い、単一細胞RNAシーケンスデータを取り扱っている。双方に適用可能なアルゴリズムの開発を予定していたため、解析手法の開発は概ね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
多数の単一細胞から計測したデータの解析手法は国外との競争が激しくなってきた。2014年4月にはNature Biotechnologyに、本研究と競合する論文が発表されている。本研究の一環ではPersistent Homologyを用いて時間遅れを持って発現する遺伝子セットの同定を行っているが、まずはこの研究を論文としてまとめて早急に発表する予定である。
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