2013 Fiscal Year Annual Research Report
挿入的クロマチン免疫沈降法(iChIP)による細胞分化制御因子の転写機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Integral understanding of the mechanism of transcription cycle through quantitative, high-resolution approaches |
Project/Area Number |
25118512
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤井 穂高 大阪大学, 微生物病研究所, 准教授 (30302665)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 転写 / 分子生物学 / ゲノム生化学 / エピジェネティクス / クロマチン |
Research Abstract |
1. Pax5遺伝子転写調節機構の解明 1-1. Pax5遺伝子TSS近傍結合ゲノム領域の同定:iChIP解析用に作製した細胞株3xFNLDD:LexA-Pax5(B)に転写因子C/EBPβを発現させて、マクロファージ様にtrans-differentiateさせた細胞株3xFNLDD:LexA-Pax5 (M)を樹立した。この二つの細胞系を用い、iChIP-Seq法を用いて、B細胞特異的にPax5遺伝子TSS近傍結合ゲノムDNAを網羅的に同定した。 1-2. Pax5遺伝子TSS近傍結合蛋白質の同定とその機能解析:上記二つの細胞を用いて、iChIP-SILAC (stable isotope labeling by amino acids in cell culture) 法により、B細胞特異的なPax5遺伝子TSS近傍結合蛋白質を同定した。さらに、siRNAを用いたLoss-of-function実験によって、上記、1-3で同定された蛋白質がPax5遺伝子転写調節に果たす役割を明らかにした。加えて、この蛋白質に結合する蛋白質を同定し、この蛋白質が関与するPax5遺伝子転写調節の分子機構を解明した。 2. Foxp3遺伝子転写調節機構の解明 2-1. Foxp3遺伝子TSS近傍結合ゲノム領域の同定:iChIP解析用に作製したマウスからT-regとナイーブCD4細胞を単離し、iChIP-Seq法を用いて、T-reg特異的Foxp3遺伝子TSS近傍結合ゲノムDNAを網羅的に同定している。現在、ゲノム支援の枠組みを通じて解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. Pax5遺伝子転写調節機構の解明 Pax5プロモーター領域にB細胞特異的に結合しているゲノムDNA・RNA・蛋白質の同定のステップの全てを修了している。結合蛋白質の機能解析については、それに結合する蛋白質の同定と、その機能欠失実験も終えており、現在、論文を投稿中である。結合ゲノム領域については、別の染色体に存在するPax5発現調節領域と思われる領域を同定しており、現在、CRISPR系を用いたこの領域の欠失実験を行っている。 2. Foxp3遺伝子転写調節機構の解明 iChIP解析用マウスから単離したT-regとナイーブCD4T細胞を用いた、iChIP-Seq解析を先行させ、現在使用している3xFNLDD-Tgマウスの系がうまく動作しているか否かを検討している。動作確認が取れれば、iChIP-RNA-Seq解析及びiChIP-MS解析を用いて、Foxp3プロモーター領域結合RNA及び蛋白質の同定へと進む。iChIP-Seq解析の結果から、T-regにおけるiChIP系が動いていないことが示唆された場合、別の3xFNLDD-Tgマウスを用いることにより改善を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
1. Pax5遺伝子転写調節機構の解明 Pax5プロモーター結合ゲノム領域については、別の染色体に存在するPax5発現調節領域のCRISPR系を用いた欠失実験の結果、この領域がPax5の発現に必須であることが示された場合、iChIP-Seq解析の結果から、このゲノム領域をいくつかの亜領域に分けて、その亜領域毎の欠失実験を行って、どの亜領域が重要な働きをしているのかを解明する。Pax5プロモーター結合蛋白質については、DT40細胞で得られた知見が、広く他の種にも当てはまるのか、また、細胞系だけでなく動物個体でのB細胞分化にも当てはまるのか、といった疑問を解明するため、マウスを用いた遺伝子欠損実験を進めている。具体的には、当該遺伝子の機能に重要と思われるエクソンをloxP配列で挟んだFloxedマウスを作製し、これとB細胞やリンパ球全般といった組織特異的Cre発現マウスとを交配させることにより、マウスのB細胞分化における当該遺伝子の役割を解明する。 2. Foxp3遺伝子転写調節機構の解明 iChIP-Seq解析のデータを詳細に解析し、T-reg特異的にFoxp3プロモーター領域と結合しているゲノム領域を網羅的に同定する。結合ゲノム領域を、近傍の遺伝子の性状等を指標として、共通制御下にある遺伝子群や、発現調節領域等に分類する。さらに、相互作用の意義を、CRISPR系を利用した欠失実験によって調べる。加えて、iChIP-RNA-Seq解析及びiChIP-MS解析を用いて、Foxp3プロモーター領域結合RNA及び蛋白質の同定を行う。結合RNA及び蛋白質がFoxp3遺伝子発現に果たす役割を、遺伝子破壊・欠失実験等のloss-of-function実験によって明らかにする。
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Research Products
(16 results)