2013 Fiscal Year Annual Research Report
転写制御因子によるDNA立体構造変化の光学的ナノ計測法開発
Publicly Offered Research
Project Area | Integral understanding of the mechanism of transcription cycle through quantitative, high-resolution approaches |
Project/Area Number |
25118513
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
井上 康志 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (60294047)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 応用光学・量子光工学 / 1分子計測(SMD) / ナノバイオ / 発現制御 |
Research Abstract |
転写制御因子がDNAの特定の塩基配列上に結合し、DNAの構造が変化する過程を、DNAがブリッジした2つの金ナノ粒子(ナノダイマー)のプラズモン共鳴波長の変化を観察することで、実時間で計測する装置の設計・開発を行った。倒立型光学顕微鏡をベースに白色光源、暗視野照明系とダイクロミックミラー、EM(Electron Multiplying)CCDカメラあるいは光電子増倍管(PMT)から構成し、ダイクロミックミラーは中心波長591nmのものを用いた。EM CCDカメラでは、ナノダイマーの暗視野像をダイクロイックミラーで2波長に分割することで、2波長成分の暗視野像を空間的に分離して、CCDカメラ上で、同時に観察した。カバーガラス上にナノダイマーを固定し、試作した装置によりSOX2のDNAへの結合を実時間観察し、DNA構造変化の1分子計測が可能であることを示した。EM CCDカメラでは時間分解が33ミリ秒に制限されるので、結合前後の過渡的な構造変化を詳細に観察はできなかった。そこでダイクロイックミラーで2分割した暗視野像をPMTで各々検出する系を用いて、DNA構造変化を計測した。PMTからの信号を1.1kHzのサンプリングレート相当で検出した結果、SOX2が結合後、構造変化したDNAが定常状態になるまでの過渡的な過程を観察できることを示した。 これまでDC5配列を含むDNAを用いて、SOX2-PAX6の複合体による構造変化を観察していたが、PAX6の結合能が高い一方、転写を活性化しないDC5コンセンサス配列(DC5-con)についても構造変化の計測を試みた。その結果、SOX2-PAX6の複合体との結合によるDNAの構造変化はDC5と比べてDC5-conの方が小さいことを明らかにした。このことから、DC5はSOX2-PAX6複合体と強く相互作用することで、転写が活性化されることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
転写制御因子によるDNA構造変化を実時間で計測する手法を確立することができた。また、本手法を用いて塩基配列のわずかな違いによる転写活性の有無をDNAの構造変化として観察できることを明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ナノダイマーからの散乱光をアバランシェフォトダイオードなどによりフォトンカウンティングすることで、SN比の向上を図り、時間分解能の向上を目指す。また、振動系による検出法については、1つのナノダイマーの振動状態を評価すると同時に、有限要素法を用いて振動解析を行い、ナノダイマーの振動を理解し、計測手法としての確立を目指していきたい。
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Research Products
(6 results)