2013 Fiscal Year Annual Research Report
アーキア(古細菌)RNAポリメラーゼにおける転写開始機構および転写調節機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Integral understanding of the mechanism of transcription cycle through quantitative, high-resolution approaches |
Project/Area Number |
25118516
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
平田 章 愛媛大学, 理工学研究科, 講師 (60527381)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 遺伝子発現 / 転写 / RNA ポリメラーゼ / アーキア |
Research Abstract |
本年度は、以下の2点に絞り当該研究を遂行し研究の成果を得ました。 (1)Thermococcus kodakarensis (Tko) RNAポリメラーゼ(RNAP)のX線結晶構造解析 Tko RNAPのX線結晶構造を3.5Å分解能で決定することができた。TkoRNAPは9個のサブユニット(A1,A2,B,D,L,P,N,K,H)からなるコア部分と2個のサブユニット(E,F)からなるコアから突出したストーク部分で構成されていた。このようにTkoRNAPは、11個のサブユニット組成という今までに決定されたアーキア由来のRNAPの中で最小であり、酵母由来RNAポリメラーゼII(PolII)の立体構造と非常に類似していることがわかった。両者の立体構造を詳細に比較したところ、PolIIにおいて、TkoRNAPには存在しない複数の挿入部位が見つかった。この挿入部位を通して、PolIIはプロモーター上に巨大な転写開始前複合体を形成するために、メディエーターや基本転写因子と相互作用していることが明らかになった。さらに、ストーク部分が存在しているにもかかわらず、TkoRNAPのクランプ部分は開いた状態であり、ストーク部分はコア部分から12.4°程スイングしていた。このスイングが転写開始前複合体および転写複合体の形成に重要であることが示唆された。一方、2.0Å分解能以上のTkoRNAPのX線結晶構造を決定するために、ストーク部分を欠損させたコア部分だけのTkoRNAPを調製することができ良質な結晶も得ることができた。 (2)TkoRNAPのFサブユニットの機能的役割 Fサブユニット遺伝子破壊株から、TotalRNAを抽出し、それを用いたRNA-seq解析の共同研究を行った。その結果、分子シャペロンであるCpkBおよびその他の遺伝子の転写量が減少していることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TkoRNAPの転写開始機構を解明するためには、TkoRNAPの立体構造情報が必須であった。本年度にその立体構造情報を入手することができたのは大きな成果である。また、高分解能のX線結晶構造解析が期待できるTkoRNAPの結晶も得た可能性が高い。一方で、班友である共同研究者とRNA-seqを行い、予想した結果を再確認することができ、また新規な発見もあった。
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Strategy for Future Research Activity |
コア部分からならTkoRNAPの高分解能X線結晶構造解析を行う。得られる構造情報をベースに、TkoRNAPの転写開始前複合体をデザインし調製する。また、複合体の結晶化を行い、TkoRNAPの転写開始前複合体のX線結晶構造を決定する。 CpkBの遺伝子発現がどのように制御されているのかを調べるために、上流のプロモーターを含む領域を転写鋳型にFサブユニットが欠損したTkoRNAPを用いて転写活性測定を行う。
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Research Products
(1 results)