2013 Fiscal Year Annual Research Report
基本転写因子TFIIDを介した転写調節機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Integral understanding of the mechanism of transcription cycle through quantitative, high-resolution approaches |
Project/Area Number |
25118520
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
古久保 哲朗 横浜市立大学, その他の研究科, 教授 (10271587)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 転写調節 / 転写因子 / 基本転写因子 / TAND / 出芽酵母 / TFIID / TAF / TBP |
Research Abstract |
基本転写因子TFIIDは、TATA結合タンパク質(TBP)と14種類のTBP随伴タンパク質(TAF)から成る巨大なタンパク質複合体であり、コアプロモーター構造を直接認識するとともに、転写調節において中心的な役割を果たすと考えられている。我々は、以前の研究において、TAF1のN末端に存在するTBP機能阻害領域(TAND; TAF1 N-terminal domain)がTFIIDによる転写活性化の分子スイッチとして機能することを見出し、"二段階ハンドオフモデル"と呼ぶ転写活性化の分子モデルを構築した。また最近では海外のグループとの共同研究により、出芽酵母由来のTAND-TBP複合体の構造を高解像度(1.97オングストローム)で決定することにも成功している。しかしながら、未だTANDの分子機能を完全に理解するまでには至っていない。 今回我々は、TAF11 or TAF12の上流にGAL1プロモーター(GAL1pro)を組み込み、別途プラスミド上に存在するTAF11 or TAF12にランダムな変異を導入し、グルコース培地上での生育の有無を調べることにより、TAND欠失変異に対して合成致死性を示すtaf11 or taf12変異の探索・同定を試みた。その過程において、(i) 宿主として用いたGAL1pro-TAF11 or TAF12株のうち、前者のみがグルコース培地上でも生育可能であること、(ii) 当該宿主株ではグルコース培地シフト後のGAL1proの一過的な転写抑制は正常に起こるものの、その後徐々に転写抑制が解除されることが明らかとなった。また本現象はTAND依存性を示したことから、その分子基盤の解明は、TANDの機能を理解する上で極めて有用と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TAND依存的な新規の生命現象を発見したこと、ならびにその分子基盤の理解を通じて、TFIIDの新たな機能の解明へと繋げていくことが十分に可能と考えられるため。
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Strategy for Future Research Activity |
本現象は、GAL1pro-TAF12株では観察されなかったことから、現時点では、GAL1pro-TAF11株に特異的であるように見える。そこでTAF特異性について詳しく調べるため、GAL1pro-TAF1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 13株を作製し、グルコース培地上での生育の有無を確認する。またグルコース培地での生育が見られたGAL1pro-TAFX株については、(i) TAND依存性の有無、(ii) グルコース培地シフト後のGAL1proの挙動(mRNA産生量とPIC形成)について詳しく調べる。
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