2013 Fiscal Year Annual Research Report
計算科学シミュレーションによるCTDの構造特性から探る転写調節機構
Publicly Offered Research
Project Area | Integral understanding of the mechanism of transcription cycle through quantitative, high-resolution approaches |
Project/Area Number |
25118521
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
米澤 康滋 近畿大学, 先端技術総合研究所, 教授 (40248753)
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Project Period (FY) |
2013-06-28 – 2015-03-31
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Keywords | 転写 / 分子シミュレーション / C末端領域 |
Research Abstract |
平成25年度はCTD特有のコンセンサス配列が一回繰り返すペプチドを計算対象としてマルチカノニカル法による分子動力学計算を実施した。分子シミュレーションは、2番目のセリン残基及び5番目のセリン残基が様々にリン酸化した状態で、全てのプロリン残基がトランス状態として実施した。これに加えて6番目のプロリンのみシス状態であるCTDペプチドでも同様な分子計算を実施した。 その結果、リン酸化はCTDペプチド構造空間を著しく制限すること、さらにリン酸化された部位の周りでプロリンを中心とする特徴的なベータターン構造を取る傾向を増す事が明らかとなった。このベータターン構造は転写因子とCTDの結合に深く関与している事が強く示唆される。さらに6番目のプロリン残基がシス状態を取る時にはこのベータターン構造が構造的に強く阻害されることを見出した。これはPin1等のプロリンシスートランス異性化酵素がCTDの転写過程に深く関わる可能性を明らかに示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、研究計画予定どうりにCTDコンセンサス配列が一回繰り返すペプチド構造のマルチカノニカル分子動力学シミュレーションを完了して、セリン残基に特異的なリン酸化がCTD構造に及ぼす影響が特徴的なベータターン構造を構成して転写因子のリクルートに深く関わることを明らかにした。 これに加えて、6番目のプロリン残基のシス状態への異性化がセリン残基のリン酸化による特異的なベータターン構造を強く阻害する効果を示すことを明らかにできたことは大きな成果であった。これらの成果を論文として発表した事も順調な計画進捗を示している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は当初の研究計画どうりに、より多くの回数繰り返す長さのCTDペプチドを分子シミュレーションの計算対象としてマルチカノニカル計算シミュレーションを実施し、コンセンサス配列が多数回繰り返す現実に即したCTDの構造と転写機能の相関をより一層明らかにする。 さらにCTDコンセンサス配列に留まらず、様々な機能を持つと思われるノンコンセンサス配列の構造と機能の相関、及びCIDとCTDの結合様式を分子シミュレーションで検証する等の計算科学研究を展開してCTDの転写機能の詳細をその構造特性から明らかにする。 加えてCTDの構造特性に関する実験を提案する等の試みを通じて、実験研究者との共同研究展開にも積極的に関わりたい。
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