2013 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子のクロストークおよびクロマチンリモデリングによるTreg分化機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular mechanisms of cell fate determination in the cells that undergo stepwise differentiation to multiple pathways |
Project/Area Number |
25118702
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
丸山 貴司 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10622524)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | TGF-β / Treg / IκB-ζ |
Outline of Annual Research Achievements |
核内IκB-ζによる免疫恒常性維持について、免疫恒常性維持を司るTregに着目し研究を開始した。 本研究を遂行するにあたり、①T細胞におけるIκB-ζの発現は、TGF-β刺激により誘導されるという基礎データを取得していた事、また②TGF-βはTregの分化誘導および免疫抑制能の獲得にも重要であることが報告されている事(JEM 2003 198:1875-86 など)から、申請者はTGF-β誘導性のIκB-ζが、Tregの分化誘導および免疫抑制能にも重要であると推察した。
本年度は、Tregの免疫抑制能について研究を遂行した。T細胞特異的IκB-ζ欠損(cKO)マウスは、生後3週間において、末梢リンパ組織におけるT細胞の顕著な活性化が認められた事から、Tregの免疫抑制能が低下していると推察した。cKOマウスよりTregを精製し、マウス炎症大腸炎モデルに移入する事で、炎症応答の抑制能を評価した。野生型マウス由来のTregを移入すると、炎症が完全に制御される事を確認したが、ckOマウス由来のTregでは、大腸炎の抑制が認められなかった。 興味深い事に、新たに作成したTreg特異的IκB-ζ欠損マウスでは、生後3週間から6か月以上の個体をつぶさに観察したが、末梢リンパ組織におけるT細胞の顕著な活性化は認められず、免疫恒常性も保たれている事が明らかとなった。つまりIκB-ζは、Tregの分化誘導過程において、その免疫抑制能の獲得に重要であり、ひとたびTregに分化誘導してしまうと、IκB-ζは免疫抑制能に関与しない事が示唆された。 さらにIκB-ζは、Tregの安定性(Tregが、他のヘルパーT細胞に分化せず、Tregとして生体内で維持されているかどうか)についても、関与していない事が明らかとなってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の想定とは異なる事象が明らかとなってきたものの、研究そのものは順調に進行していた。しかし本年9月に、連携研究者である牟田達史(教授)が他界された事で、講座の整理や新しい連携研究者の確保を余技なくされた事で、研究が遅れてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の研究計画は、本年度とはまったく別物であることから、両者を平衡して研究を推し進める事で、迅速な研究推進を目指す。 次年度は、特に TGF-β誘導性のIκB-ζについて、①T細胞におけるTregの分化誘導にどのような影響を与えているか、また、②IκB-ζが欠損する事で、TGF-β刺激そのものにどのような影響を与えているか、についてを明らかとしたい。
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Research Products
(1 results)