2013 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳動物網膜をモデル系としたエピジェネティックな制御による細胞運命決定機構の研究
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular mechanisms of cell fate determination in the cells that undergo stepwise differentiation to multiple pathways |
Project/Area Number |
25118708
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡邉 すみ子 東京大学, 医科学研究所, 特任教授 (60240735)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 網膜 / ヒストンメチル化 / 分化 / 双極細胞 / 運命決定 |
Outline of Annual Research Achievements |
網膜、プロジェニター、双極細胞系譜の細胞におけるHistone H3K27、H3K4のメチル化に着目し、ChIP-qPCRにて発生にともなう修飾の変化を検討した。大きな動きが観察されたので、マウス網膜を数種類の発生段階について、視細胞とその他の細胞(双極細胞を含む)にセルソーターで分離し、それぞれについてChIP-sequenceによりH3K27me3, H3K4me3をゲノムワイドに検討した。その結果、双極細胞の運命決定に必要な遺伝子と、双極細胞の一部のサブセットの成熟に必要な遺伝子複数について、H3K27me3の脱メチル化により、遺伝子発現が双極細胞の前駆細胞で抑制状態から離脱し、発現が可能になり細胞の成熟がおこることが示唆された。このことをin vivoで確認するために、Ezh2, Jmjd3の網膜特異的ノックアウトマウスを解析した。それぞれのマウスについて、分化は免疫染色で、また遺伝子発現、ヒストンメチル化についてChIP-qPCRで解析を加えた。その結果、Ezh2-CKOでは双極細胞の一部の細胞が特異的に消失していた。Ezh2-CKOでは双極細胞の割合が増加していることが確認された。以上のことから、in vivoで実際このシステムが細胞の運命決定、成熟に重要な役割を果たしている事が示された。Ezh2-CKOについては、Ink4a, Arfの発現の顕著な上昇が観察され、他の臓器で観察されているのと同様に、これらの遺伝子発現の脱・脱抑制が網膜でもおこっていることがあきらかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書に計画された内容とほぼ同様の実験をおこなった。マウスの作製がやや遅れたため、研究の進捗にやや遅れがあったが最終的には計画どうりにおこなわれた。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスの解析のなかで視細胞変性という予想外のフェノタイプが現れたため、これについて、そのメカニズム、視細胞変性の病態との関連で研究を続行したいと考えている。
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