2013 Fiscal Year Annual Research Report
形質細胞分化運命決定におけるMAPKシグナルの役割とその破綻によるリンパ腫発症
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular mechanisms of cell fate determination in the cells that undergo stepwise differentiation to multiple pathways |
Project/Area Number |
25118711
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
早川 文彦 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (30402580)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 形質細胞分化 / PAX5 / B細胞受容体シグナル / 蛋白翻訳後修飾 |
Research Abstract |
本研究の目的は成熟B細胞から形質細胞への分化という運命決定におけるB cell receptor (BCR)シグナルの役割を明らかにする事にある。B細胞の終末分化である形質細胞分化は胚中心B細胞において、そこまでのB細胞分化を牽引してきたPAX5とその後の形質細胞分化を担うBLIMP1が入れ替わる事により開始される。形質細胞分化の契機である抗原とBCRの遭遇から始まるBCRシグナルからPAX5とBLIMP1の入れ替わりまでのメカニズムを明らかにしていく。 BCRシグナルの重要な構成キナーゼであるSyk, Btk, Akt, によるPAX5のリン酸化をin vitroで検討しSykがPAX5をチロシンリン酸化する事を発見し、そのリン酸化部位を同定した。293T細胞内でもSykとPAX5を共発現する事でPAX5チロシンリン酸化が起こる事を確認した。PAX5はNFκBによるBLIMP1発現誘導を抑制する作用があるが、Sykを共発現するとPAX5によるBLIMP1発現抑制が解除される事をレポータージーンアッセイで確認した。 これらのデータは我々が先に報告したMAPキナーゼによるPAX5のリン酸化と同様の効果であり、BCRシグナルにおいてSykとMAPキナーゼが協調的に働き、PAX5の機能を抑制する事でBLIMP1の発現、すなわち形質細胞分化の契機となっている事を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は成熟B細胞から形質細胞への分化という運命決定におけるBCRシグナルの役割を明らかにする事を目的に研究を開始し、BCRシグナルによりPAX5がリン酸化を受け、その機能が修飾されるという重要な現象を発見できた。これがPAX5の機能に与える影響を解析する手法は既に経験があるものばかりであり、残り期間でそれを終える事は十分可能と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
SykによるPAX5リン酸化が形質細胞分化にどのような影響を与えているのかを以下の方法で更に解明していく。 ①PAX5リン酸化がDNA結合能に与える影響をEMSAにより明らかにする。②PAX5リン酸化がPAX5によるBLIMP1発現抑制に与える影響をPAX5リン酸化変異体を用いたレポータージーンアッセイで更に解析する。③PAX5のチロシンリン酸化がBCRシグナルによって起こる事をRamos細胞のBCRを刺激する事により検討する。④BCRシグナルによるBLIMP1発現上昇におけるPAX5チロシンリン酸化の重要性をRamos細胞にPAX5リン酸化変異体を導入した細胞を用いて検討する。
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