2013 Fiscal Year Annual Research Report
造血幹細胞の自己複製と分化の誘導を掛け分ける分子基盤
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular mechanisms of cell fate determination in the cells that undergo stepwise differentiation to multiple pathways |
Project/Area Number |
25118717
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
瀧原 義宏 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (60226967)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 造血幹細胞 / 自己複製 / 分化 / Geminin |
Research Abstract |
ポリコーム複合体1とそのエピジェネティクな転写制御の標的遺伝子であるHoxb4やHoxa9は共に造血幹細胞の活性を支持する細胞内因子として知られている。いずれも転写制御機能を介して造血制御を担っていると考えられて来たが、研究室ではこれらがそれぞれGemininに対するE3ユビキチンリガーゼとして働き、Gemininタンパク質の発現レベルをユビキチン-プロテアソーム系を介して直接制御していることを初めて明らかにした。GemininはDNA複製やクロマチンリモデリングを抑制することによって、細胞増殖と分化を制御している。従って、Gemininの発現制御によって造血幹細胞の活性が統括されていることが推測される。そこで、Geminin遺伝子にインフレームでEYFP を挿入したGeminin-EYFPノックインマウスを作製し、Gemininを可視化するとともに、Gemininの発現を増大あるいはshRNAを用いて低下させるレトロウイルスベクターの作製を行った。さらに、遺伝子組み換えタンパク質を直接細胞内に導入する手法の開発を目指して、Cell penetrating Geminin (CP-Geminin)を作成した。今後、これらを駆使して造血幹細胞が自己複製するか、あるいは分化するかの運命決定においてGemininがどのような役割を果たしているのかについて解析を進めていく計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ポリコーム複合体1とそのエピジェネティクな転写制御の標的遺伝子であるHoxb4やHoxa9は共に造血幹細胞の活性を支持する細胞内因子として知られている。いずれも転写制御機能を介して造血制御を担っていると考えられて来たが、研究室ではこれらがそれぞれGemininに対するE3ユビキチンリガーゼとして働き、Gemininタンパク質の発現レベルをユビキチン-プロテアソーム系を介して直接制御していることを初めて明らかにした。そこで、Geminin遺伝子にインフレームでEYFP を挿入したGeminin-EYFPノックインマウスを作製しGemininを可視化するとともに、Gemininの発現をshRNAを介して低下させるレトロウイルスベクターの作製を行い、骨髄細胞を用いてGemininの発現が造血幹細胞の維持と機能に必須な役割を果たしていることを明らかにした。さらに、遺伝子を介さずに遺伝子組み換えタンパク質を直接細胞内に導入することを目指して、Cell penetrating Geminin (CP-Geminin)を作成した。以上の如く、研究計画はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
Geminin遺伝子にインフレームでEYFP を挿入し て、Gemininを可視化したGeminin-EYFPノックインマウスを用いて、造血幹細胞を頂点とした造血ヒエラルキーの各段階の細胞におけるGemininの発現を詳細に追跡する。さらにshRNAを用いたGemininiの発現を低下させる実験を骨髄細胞全体だけでなく(昨年度実施)、造血幹細胞分画(CD34negative KSL)で行い、造血幹細胞におけるGemininの発現が幹細胞性を維持するために重要な働きをしていることを機能的にも示す。さらに、遺伝子導入を介さずに遺伝子組み換えタンパク質を直接細胞内に導入することを目指して、Cell penetrating Geminin (CP-Geminin)を作成している。今後、これらを駆使して造血幹細胞が自己複製するか、あるいは分化するかの運命決定においてGemininがどのような役割を果たしているのかについてシングル細胞レベルでの解析を進めていく計画である。
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[Journal Article] Transcription of the Geminin gene is regulated by a negative-feedback loop2014
Author(s)
Ohno, Y., Saeki, K., Yasunaga, S., Kurogi, T., Suzuki-Takedachi, K., Shirai, M., Mihara, K., Yoshida, K., Voncken, J.W., Ohtsubo, M., Takihara, Y.
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Journal Title
Mol. Biol. Cell
Volume: 25
Pages: 1374-1383
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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