2013 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄球系細胞の系列転換における「遷移細胞」の解析
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular mechanisms of cell fate determination in the cells that undergo stepwise differentiation to multiple pathways |
Project/Area Number |
25118722
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Takasaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
大根田 絹子 高崎健康福祉大学, 薬学部, 教授 (50323291)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 細胞分化 / 転写因子 / マスト細胞 |
Research Abstract |
研究代表者らは、転写因子GATA2の機能欠失がマウス骨髄マスト細胞(BMMC)の脱分化を引き起こすことを見い出した。この細胞は、マクロファージと顆粒球への分化能を有し、正常な前駆細胞とは性質を異にする不安定な状態にあると考えられたため、研究代表者はこの細胞を「遷移細胞」と命名した。本研究では、この細胞を解析することによって、骨髄球系細胞の運命転換にとって鍵となる分子機構を見い出したいと考えている。 平成25年度は、GATA2の機能欠失後、最も早期に、また顕著に増加するCebpa遺伝子の発現が、GATA2によって直接制御されているのかどうかについて解析を進めた。Cebpa遺伝子近傍の塩基配列を調べたところ、転写開始点から約37Kb(Cebpa+37K)3’の領域に、種間で保存された複数のGATA配列が存在していた。この領域は、骨髄球系前駆細胞株である32D細胞において、Runx1が結合しCebpa遺伝子を正に制御するエンハンサーとして報告されている(Guo et al, 2012)。また、この領域にはRunx1、GATA因子の結合配列に加えて、PU.1が結合するEts配列も存在している。野生型BMMCsを用いたChIP解析では、GATA2、Runx1、PU.1の3者がCebpa+37Kに結合していた。GATA2欠失後、CebpamRNA の発現量は著しく増加するが、Runx1とPU.1の結合活性には大きな変化が見られなかった。また、このエンハンザー領域を用いたレポーターアッセイでは、GATA2とRunx1・PU.1の拮抗的な作用が再現できなかった。これらの結果から、GATA2によるCebpa遺伝子抑制の分子メカニズムは、これらのシス領域、トランス因子のみでは説明しがたいと考えられた。今後は、+37Kと他のシス領域との相互作用や、他の転写因子の役割にも注目して解析を続けたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
GATA2によるCebpa遺伝子抑制の分子メカニズムについては、当初の計画以上に解析が進んでいる。しかしながら、GATA2機能欠失BMMCをマウス個体に移植して、生体内でその運命を観察する実験に用いる予定であったCAG-floxed Neo-EGFP マウスを搬入し、繁殖させて、CreによるEGFPの発現を確認したところ、何らかの理由でGFPの発現がみられなかった。平成26年度はレポーターとしてTdtomato発現するマウスを用いて実験を行う。この理由から、この実験は、当初の計画よりも若干遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
1.GATA2deltaCF細胞のマウス個体での性状解析 マウス個体でも、GATA2deltaCF細胞の脱分化と運命転換がみられるかどうか、次の2つの方法で解析を進める。①マスト細胞特異的な誘導的Creマウス(Cpa3CreERT2)を作成し、成体マウスでマスト細胞特異的にGATA2を欠失させる。②G2deltaCFBMMCをマスト細胞欠損マウス(Kitw-sh)に移植し、マウスにタモキシフェンを投与する。いずれもCre-loxP組み換えにより細胞が赤色蛍光を発するCAG-floxed Neo-TdTomaotoを発現するマウスと交配した細胞を用いて、GATA2機能欠失細胞を判別できるようにする。 2.GATA2によるcebpa遺伝子発現抑制機序の解明 H25年度に引き続き、 cebpa遺伝子の制御領域でのGATA2、PU.1、Runx1の機能をChIPアッセイやレポーターアッセイにより解析する。離れたシス領域間の相互作用が考えられた場合には、3Cアッセイによる解析を行う。また、cebpa条件付きKOマウスと交配し、GATA2機能欠失によるBMMCの脱分化にC/EBPαの発現上昇が必要なのかどうかについて、検証する。
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[Journal Article] GATA factor switching from GATA2 to GATA1 contributes to erythroid differentiation.2013
Author(s)
Suzuki M, Kobayashi-Osaki M, Tsutsumi S, Pan X, Ohmori S, Takai J, Moriguchi T, Ohneda O, Ohneda K, Shimizu R, Kanki Y, Kodama T, Aburatani H, Yamamoto M
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Journal Title
Genes Cells
Volume: 18
Pages: 921-933
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Establishment of erythroleukemic GAK14 cells and characterization of GATA1 N-terminal domain.2013
Author(s)
Mukai HY, Suzuki M, Nagano M, Ohmori S, Otsuki A, Tsuchida K, Moriguchi T, Ohneda K, Shimizu R, Ohneda O, Yamamoto M.
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Journal Title
Genes Cells.
Volume: 18
Pages: 886-898
DOI
Peer Reviewed
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