2013 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝x環境相互作用を考慮した社会コミュニケーション能力の定型・非定型発達モデル化
Publicly Offered Research
Project Area | Constructive Developmental Science; Revealing the Principles of Development from Fetal Period and Systematic Understanding of Developmental Disorders |
Project/Area Number |
25119507
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
篠原 一之 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30226154)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 環境 / 遺伝子 / コホート / 社会性 |
Research Abstract |
本研究では胎児期~幼児期の母子コホート集団を対象とし、客観的な指標を用いて「子の社会的コミュニケーションの発達」と「母という環境」を縦断的に追跡するとともに、母子から得た生体資料から遺伝子・ホルモン計測を行うことで、遺伝x環境相互作用を考慮した社会的コミュニケーション能力の定型発達・非定型発達モデルを構築することを目的とする。 本年度は、本研究の柱となる新生児コホート研究の研究参加者リクルートを実施し、縦断的追跡を開始した。縦断的追跡では、より安定に注視点計測が可能な新規測定系を始め新たな測定項目を取り入れることで、乳児の社会的コミュニケーション発達をより多面的に評価できる環境を整備した。 また、現時点で採取済みの行動・生体試料を分析し、児の社会性発達における養育・化学物質環境と、児の遺伝的素因との相互作用に関して予備的知見を得た。具体的には、ダイオキシン類の神経毒性発現に関連する遺伝子多型と、乳児の社会的コミュ二ケーション刺激に対する注意定位反応との間に有意な関連性を見出した。これは、出生前後に曝露した化学物質環境が、社会的コミュニケーション発達に影響を与える可能性を示唆している。一方、質問紙調査と遺伝子多型解析の結果から、母親の乳児に対する愛着感情の強さが、母親自身が経験した養育環境と、母親が有する遺伝的素因により規定されることを見出した。さらにこれら両要因の間には有意な交互作用が見出されたことから、乳児の社会的コミュニケーション能力発達に影響を与える養育環境=母親の養育行動も、遺伝x環境相互作用の影響下にあることが示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は当初計画通りコホート研究体制を確立し研究を開始することができた。既に一部の行動・生体試料解析を終了しているほか、今後縦断的研究で実施する新規行動・脳機能測定系の確立も完了した。以上から、概ね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、当初計画通りに縦断的追跡を続ける。その後、研究期間内に収集したデータをもとに、変数間の因果的連関に関する統計的モデリングを実施することで、社会性発達における環境x遺伝子相互作用を検証する予定である。
|
Research Products
(5 results)
-
-
-
-
[Presentation] Prenatal exposure to polychlorinated biphenyl (PCB) congener impairs socio-cognitive ability in human four-month-olds.2013
Author(s)
Doi, H., Nishitani, S., Nagai, T., Fujisawa, T., Kakeyama, M., Maeda, T., & Shinohara, K
Organizer
11th World Congress of Biological Psychiatry
Place of Presentation
京都、京都国際会館
Year and Date
20130722-20130727
-