2013 Fiscal Year Annual Research Report
飛行生物の翼を規範としたマルチスケール構造を持つ柔軟伸縮フィルム
Publicly Offered Research
Project Area | Innovative Materials Engineering Based on Biological Diversity |
Project/Area Number |
25120506
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
田中 博人 千葉大学, 千葉大学・上海交通大学国際共同研究センター, 特任助教 (80624725)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 自己組織化 / マイクロリンクル / 羽ばたき翼 |
Research Abstract |
鳥の翼では柔軟かつ伸縮可能な翼面が羽根の微小な毛状構造の曲げ変形によって実現されている。本研究では、柔軟かつ伸縮可能なフィルムの構造として、微小なシワの曲げ変形によって伸縮性を実現するシワ付きフィルムを提案する。今年度はその製作方法として、微小なシワ形状を自己組織化的に生成してフィルムに転写する手法を考案した。シワ形状は、エラストマー基板の表面に比較的ヤング率の大きい薄膜を成膜し、面内で歪ませることで自己組織化的に形成した。歪み方向によってシワの配向を制御した。この基板上のシワに犠牲層を介しえてパリレンフィルムを蒸着し、犠牲層を除去することで、シワを有するパリレンフィルムを製作した。シワによってパリレンフィルムの見かけ上の引張弾性率が減少することを示すために、1 方向にシワを配向させたパリレンフィルムを用いて引張試験を行った。その結果、シワが無いフィルムと比較して、シワと平行な方向の見かけの引張弾性率はほとんど変化しなかったが、シワと垂直な方向の見かけの引張弾性率はシワが無いフィルムの 20% 程度になった。このシワ付きフィルムの応用として超小型羽ばたき飛行機の翼面フィルムとして用いることを想定し、固定羽ばたき機構でシワの配向による翼面変形を比較した。その結果、翼弦と平行にシワを配向させることで翼面の過剰なフェザリング変形が抑制できることを示した。これらの成果は国内学会と国際シンポジウムで発表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に研究が進んでいる。提案した製作プロセスによって実際にシワ付きフィルムが実現できた。また単純な 1 方向に配向させたシワによって、フィルムの見かけの引張弾性率が数分の 1 程度に小さくできることが確認できた。さらに応用先として提案した超小型羽ばたき機の翼面への適用にも着手し、シワの配向方向によって羽ばたき中の翼面変形に違いが生じることも確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
シワによってフィルムの見かけの引張弾性率を大きく減少できることは実証できたが、顕著な伸縮性と言えるほどの値ではない。シワの波長と振幅の最適化によって、十分な伸縮性の実現を目指す。また、シワ生成時のシワ基板の歪みを基板面内に不均一に分布させることで、面内に立体的に伸縮変形するようなシワフィルムの実現を目指す。この応用例として、3次元的な翼面変形が重要とされる超小型羽ばたき機の翼に適用し、シワ付きフィルムによって受動的な翼面変形を制御し空気力学的特性を向上させることを目指す。
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Research Products
(2 results)