2013 Fiscal Year Annual Research Report
微粒子由来凹凸構造を利用する気液分散体の安定化
Publicly Offered Research
Project Area | Innovative Materials Engineering Based on Biological Diversity |
Project/Area Number |
25120511
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤井 秀司 大阪工業大学, 工学部, 准教授 (70434785)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 気液界面 / リキッドマーブル / 泡 / 高分子微粒子 / 吸着 / 分散体 |
Research Abstract |
本研究では、サブセルラーサイズの高分子微粒子からなる集合体を作製することで凹凸を形成し、その形状が生み出す撥水性を活かし、リキッドマーブル(Water-in-Air型気液分散系)の安定化を実現する。さらに、リキッドマーブル内部に泡が分散した多相気液分散系(Air-in-Water-in-Air型分散系)の構築、さらに多孔質高分子材料の創出を行い、材料化学分野へ研究を展開することを目的としている。平成25年度は、下記2項目について検討を行った。 1. 高分子微粒子の精密合成・評価 乳化重合、分散重合を駆使し、水への濡れ性が異なる高分子(ポリビニルピロリドン、ポリ(メタクリル酸ジエチルアミノエチル)、ポリエチレングリコール)が表面に吸着したポリスチレン粒子の精密合成を行った。X線光電子分光装置、接触角計を用いて粒子表面化学を濡れの科学の観点から評価した。さらに、シード乳化重合、シード分散重合を駆使し、粒子表面の親水性疎水性バランスのコントロールにも成功した。 2. 微粒子集合体の表面凹凸構造の制御 高分子微粒子の水分散体の乾燥方法(自然乾燥、フリーズドライ)および、その条件(温度、湿度、分散体固形分濃度)が、得られる粒子集合体の状態、表面凹凸構造に与える影響について検討を行った。その結果、フリーズドライ法から得られる微粒子集合体はかさ密度が低く適度な流動性を示し、一方自然乾燥法からは、粒子が緻密に詰まった粒子集合体が形成されることを明らかにした。レーザー顕微鏡、走査型電子顕微鏡を使用し、粒子集合体が形成する表面凹凸は数十ミクロンメートルレベルであることを明らかにした。当該項目は、界面化学を専門とする連携研究者である村上良博士(甲南大学)と連携して推進した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究計画通り、親水性疎水性バランスの異なる表面を有する高分子微粒子の精密合成・評価に成功した。さらに、微粒子水分散体の乾燥方法と得られる微粒子集合体の状態、構造との相関関係を明らかにすることに成功し、計画通り目標を達成することができた。また、領域研究メンバー(企業)との共同研究成果を元に、特許出願を行い、「生物規範工学」の工業化への展開も開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度以降も、当該新学術領域研究のメンバーとの連携を通じて、「生物規範工学」の学理の体系化に努める。自然界で観察される微粒子の界面吸着現象をコロイド化学、高分子化学の観点から研究することで、生物規範工学の科学の確立推進に力を注ぐ。具体的には、下記2点について研究を推進する。 (1)高分子微粒子表面への水の濡れ性評価:微粒子集合体が形成する表面凹凸構造が、撥水性に与える影響を精査する。粒子表面への水の濡れ性は、粒子の気液界面における吸着エネルギーと相関しているため、気液分散体の安定性を評価する上で重要な因子である。本課題では、凹凸構造を有する粒子集合体表面における水の濡れ性を接触角測定を行うことで評価し、単一粒子表面の濡れ性と比較する。 (2)気液分散体の安定化と機能性材料の創出:高分子微粒子のみを安定化剤として利用し、リキッドマーブルおよびその内部に泡が分散したAir-in-Water-in-Air型多相気液分散体を作製する。申請者が開発したドロップレットローラー【申請者ら Soft Matter 2010, 6, 635】、およびフォームカラム【申請者ら Langmuir 2006, 22, 7512】を使用し、様々な条件(温度、湿度)で、気液分散体の安定性を評価する。さらに、多相気液分散体から水を蒸発させることで、多孔質高分子材料を合成する。上記の分散体、機能性材料の構造評価、および強度、比表面積等の物性評価を、電子顕微鏡、微小圧縮試験機、BET装置を用いて行う。 得られた結果を取りまとめ、学会発表、論文投稿を行う。平成25年度、平成26年度で取得する基礎的データを有機的に繋げることで、生物規範工学に立脚した真に使えるコロイド材料開発の実現に向けた足掛かりとしたい。
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Research Products
(59 results)
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[Patent(Industrial Property Rights)] 紫外線遮蔽剤2013
Inventor(s)
山中真也,空閑良壽,藤本敏行,藤井秀司,中村吉伸
Industrial Property Rights Holder
山中真也,空閑良壽,藤本敏行,藤井秀司,中村吉伸
Industrial Property Rights Type
特許
Industrial Property Number
特願2013-095218
Filing Date
2013-04-30