2013 Fiscal Year Annual Research Report
新規オーキシンレポーターによるオーキシン応答再編メカニズムの解明
Publicly Offered Research
Project Area | Environmental sensing of plants: Signal perception, processing and cellular responses |
Project/Area Number |
25120701
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
綿引 雅昭 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (70396282)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | remodeling of response / auxin response / feedback regulation / luciferase imaging |
Research Abstract |
本研究は領域研究前半で明らかになった「オーキシン応答の再編メカニズム」を分子レベルで明らかにし,オーキシン遺伝子発現のプロファイリング(将来予測)を行うための技術開発を本研究の第一目標とした。さらにオーキシン応答の至適濃度と器官特異性の関係もオーキシン応答機構の再編(記憶)が関わっていると考えられるので,本新技術の適用によってそのメカニズムを明らかにすることが第2の目標である。 1.多色ルシフェラーゼ発光の色分離;プロモーターの状態をリアルタイムで計測できるようにPEST配列を持つRLucPESTを作成し,pIAA19-ElucPEST,RLucPESTを両方持つシロイヌナズナを作出し,色分離に成功した。 2.新奇IAA19突然変異体の作出;AUX/IAA19の優性突然変異体であるmassugu2はオーキシン応答能が低下しているだけではなく,「オーキシン応答の再編」過程に異常があることがわかっている。そこでmsg2-1およびMSG2のcDNAにランダム変異を誘発し,pIAA19-ElucPESTをもつシロイヌナズナに導入した個体の作出と解析を行う。 3.多色オーキシンレポーターの作出;異なるオーキシン応答遺伝子間の「オーキシン応答の再編」を観察することで,オーキシン応答再編がスッテップワイズに進行する様子が明らかになると考えられる。そこでDR5人工プロモーターの下流にRLucPESTを融合したコンストラクトをシロイヌナズナに導入し,「オーキシン応答の再編」が起こることを確認する。;4.光応答とオーキシン関連突然変異体におけるオーキシン応答の再編 オーキシン合成,光応答変異体におけるオーキシン応答の再編を調べるため,掛け合わせによりpIAA19-ElucPESTを導入し,解析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オーキシン応答の再編メカニズムを分子レベルで明らかにする目的で,多色ルシフェラーゼ発光の色分離,新奇IAA19突然変異体の作出,多色オーキシンレポーターの作出,光応答変異体にオーキシンレポーターを導入する実験基盤を構築しつつ,データも同時に得ることができている。 多色ルシフェラーゼの色分離に関しては,RLucPESTを作成したことでプロモーター活性をリアルタイムに観測するチャンネルが2つに増えた。一方を恒常発現型コントロールとすることで,光学的なアーティファクトや未同定の組織間活性変動をキャンセルすることができ,オーキシンレポーターのダイナミズムがより詳細に観測できるようになった。研究計画に従った到達度である。しかし,RLucPESTは当初予想した以上に輝度値が低く,第2のオーキシンレポーターとして導入できるプロモーター活性が高いものが必要となった。そこでpIAA19-RlucPESTを作出しているので,より弱いオーキシンレポーターについてElucPESTで導入することにした。新奇IAA19突然変異体の作出についてはランダム変異導入ライブラリーを導入したシロイヌナズナ植物で,多数新規表現型が観察されている。候補遺伝子を再度導入し表現型を確認しているところである。また,光応答変異体におけるオーキシン応答は掛け合わせが順調に進行しており,26年度からデータを取得できる状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
多色ルシフェラーゼの色分離技術と多色オーキシンレポーターの作出を行ったので,今後はオーキシン応答の再編メカニズムのプロモーター特異性を検出できると考えられる。オーキシン応答を時空間解析するシステムは完成しているので,実際にデータを収集しつつ,解析アルゴリズムを精査して,高精度のオーキシン応答検出システムの構築を目指す。新奇IAA19突然変異体はpIAA19-ElucPESTバックグラウンドで作出しているので,表現型異常とオーキシン応答の再編現象の相関関係を上記,高精度オーキシン応答検出システムの開発と同時進行することで,最短時間での成果発表としたい。オーキシン応答の至適濃度と器官特異性の関係についても,新奇IAA19突然変異体で応答能が変動していると考えられるので,オーキシン応答の至適濃度を指標としたオーキシン応答の再編を重点に解析することとする。さらに光応答変異体とpIAA19-ElucPEST植物の交配が完了しているので,本年度は高精度オーキシン応答検出システムに光環境をコントロールするシステムを導入し,オーキシン応答と光応答のライブイメージングを行い,相関関係を観測することで,当初の目的である植物の形態形成を担うオーキシン遺伝子発現のプロファイリングをおこなう。
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