2014 Fiscal Year Annual Research Report
海氷融解過程を考慮した極域海洋像の構築
Publicly Offered Research
Project Area | New Ocean Paradigm on Its Biogeochemistry, Ecosystem and Sustainable Use |
Project/Area Number |
25121501
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
西岡 純 北海道大学, 低温科学研究所, 准教授 (90371533)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 極域 / 亜極域 / 海氷 / 融解水 / 鉄 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、海氷が栄養物質の循環と植物プランクトン増殖にどのような役割を果たしているのかを、生物・化学的視点から明らかにする事を目的として取り組んだ。これまでの知見では、季節海氷域では春季に海氷が融けることで海洋表層に低温・低塩分水を供給し、密度成層を発達させ、植物プランクトンにとって光環境の整った安定な生息域を形成する点で、春季から夏季の植物プランクトンの増殖に大きな影響を与える事が指摘されていた。一方で、表層の低温・低塩分水の形成が、窒素・リン・ケイ素などの主要な栄養塩や、海水中で不足しがちな鉄分などの濃度にどのような影響を与え、植物プランクトン増殖に影響しているのかについては知見が不足していた。そこで我々は、海氷内に含まれる化学物質と、海氷融解水が表層の栄養物質環境に与える影響を調べるため、2013年夏季の北極海において、海氷をクリーンにサンプリングし、海氷の中に含まれる窒素・リン・ケイ素などの栄養塩や鉄分の分析を実施した。その結果、海氷には表層の海水にくらべて1-2オーダー以上高い濃度で鉄分が含まれていること、一方で主要な栄養塩は海氷結氷時に排出されて海氷内の濃度が著しく低いことが明らかとなった。さらに、北極海の氷縁域で海洋表面水のマッピングを実施し、アルカリ度と鉄分および栄養塩を測定することで、北極海表層の広範囲に海氷融解水由来の鉄分が供給されていて、主要な栄養塩である硝酸塩が消費されている様子を捉えることに成功した。河川水由来の鉄分供給の及ぶ範囲に比べ、海氷融解水由来の鉄分の及ぶ範囲は各段に大きいと考えられ、北極海季節海氷域だけでなく、海氷融解水の及ぶ範囲の植物プランクトン生態系に大きな影響を与えていることが示唆された。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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[Journal Article] Laterally spreading iron, humic-like dissolved organic matter and nutrients in cold, dense subsurface water of the Arctic Ocean2014
Author(s)
Nanako Hioki, Kenshi Kuma, Yuichirou Morita, Ryouhei Sasayama, Atsushi Ooki, Yoshiko Kondo, Hajime Obata, Jun Nishioka, Youhei Yamashita, Shigeto Nishino, Takashi Kikuchi, Michio Aoyama
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Journal Title
Scientific reports
Volume: 4
Pages: -
Peer Reviewed
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