2013 Fiscal Year Annual Research Report
公海における漁業者の協調生成メカニズムの経済分析:生物多様性と漁獲行動の調和
Publicly Offered Research
Project Area | New Ocean Paradigm on Its Biogeochemistry, Ecosystem and Sustainable Use |
Project/Area Number |
25121508
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
東田 啓作 関西学院大学, 経済学部, 教授 (10302308)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 漁業者の協調行動 / 生物多様性 / 水産資源管理 |
Research Abstract |
平成25年度は、研究目的の達成のために、以下のことを実施した。 ①学生実験(三重大学松井氏と共同で実施):9月3日に三重大学にて、学生実験およびアンケートをおこなった。これは、漁業者実験に向けたプレテストとしての役割を持つと同時に、消費者を対象とした実験、アンケートとしておこなったものである。 ②沖縄のフィールド調査:10月3日、および4日に宮古島漁協、伊良部漁協、池間漁協へ漁業、および漁業者の行動についてのヒアリング調査を行った。 ③フィリピン、ルソン島におけるプレ実験:11月20日~25日にかけて、フィリピンルソン島中部(Masinloc, Zambales、およびAgno, Pangasinan)においてプレ実験を実施した。1実験当たり12名の被験者を用い、アンケートの質問項目の妥当性、実験種目の妥当性などを調べた。フィリピン大学教員(Arvin Vista氏)、および大学院生(Elmer Sunaz君)に協力してもらい、調査を行った。ここまでのデータ分析によって、年齢や個人属性が、個人の選好や社会選好(協調性)に優に影響を与えていることが明らかとなっている。 ④インドネシア、カリマンタン島におけるプレ調査:2014年2月16日~20日にかけて、インドネシアのカリマンタン島Kubu Raya地区において、同様の経済実験とアンケートによる調査・分析が可能かどうかを調査した。これにはインドネシアの海洋漁業省の方(Anton Setyo Nugroho氏)に同行していただいた。漁村の所得水準が平均的にはフィリピンよりも低く、また市街地から離れていることが多いため、実験用の十分なスペースを確保できるかどうかは課題であり、この点については、今後インドネシア水産省と検討する必要がある
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本来実施を目的としていたフィールド実験、およびフィールド調査がほぼ実施可能の見込みとなり、具体的な日程も決定している。また、フィリピンではすでにプレ調査も実施済みである。 また、それぞれの国において現地の研究協力者も得られている。このため、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、以下の予定で研究を進める。①フィリピンにおける本実験・調査:5月11日~16日パラワン島、8月5日~10日ルソン島中部、8月11 日~16日ミンダナオ島ジェネラルサントス周辺。本実験・調査より、1セッションの人数を16名にすることとしている。この理由は、12名の場合、実験中にペアの相手やグループのメンバーを推測しやすくなり、被験者の行動に影響を与える可能性があるためである。被験者の予定総数は以下のとおりである。パラワン島16名×4セッション=64名、ルソン島中部16名×4セッション=64名、ミンダナオ島16名×4セッション=64名、合計192名。 ②インドネシアにおける本実験・調査:8月23日~9月4日スラウェシ島マナド周辺、およびカリマンタン島、10月30日~11月5日ジャワ島中部。被験者の総数は、16名×9セッションで144名の予定である。 ③データ解析:本来の目的に沿ったデータの分析は、年末(12月)までには完了する予定である。基本的には説明変数に個人属性や社会・環境特性をとり、被説明変数には個人の選好や協調行動のインデックスをとって分析を行う。 ④高度回遊魚種の資源・漁獲配分と交渉:その次のステップとして、より広範囲に回遊する魚種の資源・漁獲配分と交渉に、より焦点をあてた経済理論を精緻化する。 ⑤学会発表、ディスカッションペーパーの発行、および論文発行:経済実験のデータ分析、協調行動の理論分析のそれぞれについて論文を執筆し、ディスカッションペーパーの形で発行する。また、それぞれをコンファレンスで報告する。
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