2013 Fiscal Year Annual Research Report
新奇Gサイクルの起動制御に関わる構造生物学的解析
Publicly Offered Research
Project Area | Structural basis of cell-signalling complexes mediating signal perception, transduction and responses |
Project/Area Number |
25121706
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堅田 利明 東京大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (10088859)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | シグナル伝達 / 生体分子 / G蛋白質 / Gサイクル |
Research Abstract |
本新学術領域研究では、既知タイプとは異なる新奇低分子量G蛋白質群、すなわち、従来の刺激依存性GDP-GTP交換によるコンホメーション転換には依らないGTP結合待機型G蛋白質(RasファミリーのDi-Ras、Arfファミリーに属するArl8など)及び既知のGドメインに加えて別の機能領域も有するユニークな構造のマルチ・ドメイン型G蛋白質(栄養感知からmTORへのシグナル伝達に介在するヘテロ二量体G蛋白質のRagなど)について、生化学、分子生物学、細胞生物学的な解析を進め、評価が可能となったG蛋白質複合体については構造学的な考察及び解析も加えた。1.H-、K-Rasなどの代表的なRasとは異なり、Di-Rasはその大部分がSmgGDSとヘテロ二量体を形成して細胞質の可溶性画分に存在した。SmgGDSはRhoAのグアニンヌクレオチド交換を促進する活性を有し、RhoAの活性化因子の一つと考えられている。そこで、SmgGDSがグアニンヌクレオチド結合状態に与える影響を検討した結果、RhoAに対する作用とは全く対照的に、SmGDSとの結合によってDi-Rasのグアニンヌクレオチド結合能が低下することを見出した。2.リソソームに局在するARL8が、GTP結合型(活性化型)において、HOPS複合体の構成因子VPS41と結合することを見出し、VPS41がARL8のエフェクターである可能性が示唆された。3.線虫のRag二量体をコードするraga-1及びragc-1両遺伝子の欠失変異体を用いた解析から、G蛋白質Ragが食餌中の必須アミノ酸に応答した神経前駆細胞の活性化に介在することを見出した。さらに、大腸菌の共発現系を用いて、点変異の導入等による組み換えヘテロ二量体(RagA-RagC)の精製系を構築し、ヘテロ二量体中の個々のRagGサイクルに関わる動態評価を可能とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
G蛋白質複合体の高次構造決定に関わる研究の進展は、引き続く重要な課題であるが、本研究で対象とした新奇の低分子量G蛋白質群のいくつかについて、それらの新しい機能を見出した点は大きな進展である。特に、Di-Rasのユニークな生化学的性状解析の結果は、これまで単純化して考えられてきたRasファミリーのGサイクルを再考する上で、意義深い研究成果と考えられる。また、Ragヘテロ二量体G蛋白質中の個々のRag-Gサイクルをモニター可能な評価系を構築したので、Gサイクルの存在様式が生理機能の発揮において果たす役割の解明に向けて貢献すると期待している。
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Strategy for Future Research Activity |
低分子量G蛋白質Di-RasがSmgGDSとヘテロ二量体を形成し、GTP/GDPとの結合親和性を低下させて細胞質画分に存在することは、ユニークな生化学的性状である。この特性を可能とする構造生物学的解析が、引き続く重要な課題の一つであり、構造生物学者との共同研究によって、その原子レベルでの解明を推進する。さらに、Di-RasはSmgGDSが解離することによってGTPの結合した活性型となり、細胞膜で機能するものと考えられるので、複合体の形成・解離を指標に、このGサイクルを始動させる新たな因子群の同定も進める。他方、リソソームと後期エンドソーム、ファゴソームとの融合過程に関与するArfファミリーG蛋白質ARL8のエフェクターとして、HOPS複合体の構成因子であるVPS41を見出したので、その複合体の構造生物学的な解析にも着手する。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Active transport and diffusion barriers restrict Joubert Syndrome-associated ARL13B/ARL-13 to an Inv-like ciliary membrane subdomain.2013
Author(s)
Cevik S, Sanders AA, Van Wijk E, Boldt K, Clarke L, van Reeuwijk J, Hori Y, Horn N, Hetterschijt L, Wdowicz A, Mullins A, Kida K, Kaplan OI, van Beersum SE, Man Wu K, Letteboer SJ, Mans DA, Katada T, Kontani K, Ueffing M, Roepman R, Kremer H, Blacque OE.
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Journal Title
PLoS Genet.
Volume: 9
Pages: -
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Arl8/ARL-8 functions in apoptotic cell removal by mediating phagolysosome formation in C. elegans.2013
Author(s)
Sasaki A, Nakae I, Nagasawa M, Hashimoto K, Abe F, Saito K, Fukuyama M, Gengyo-Ando K, Mitani S, Katada T, Kontani K.
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Journal Title
Mol. Biol. Cell
Volume: 24
Pages: 1584-1592
DOI
Peer Reviewed
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