2013 Fiscal Year Annual Research Report
ナス科植物における自他認識複合体の構造基盤
Publicly Offered Research
Project Area | Structural basis of cell-signalling complexes mediating signal perception, transduction and responses |
Project/Area Number |
25121723
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
村瀬 浩司 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (50467693)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 自家不和合性 |
Research Abstract |
本年度はSRNaseおよびSLFの発現条件の検討を行った。SRNaseはS5とS9RNaseについてFLAGタグの融合タンパク質としてピキアの分泌発現系を用いて発現させたところ、両者共に発現が確認できた。そこで、それぞれ30 Lの培養液を用いてSRNaseを発現させて、FLAGビーズで精製した後、HRV3CプロテアーゼによってFLAGタグを切断し、ゲルろ過クロマトグラフィーによって最終精製した。S5, S9RNaseともに約5 mgのタンパク質が回収できた。S5RNaseについて結晶化スクリーニングを行ったが、結晶が得られなかったため、EndoHおよびPNGaseを用いて糖鎖の切断を試みた。MALDI-TOF MSによって糖鎖を切断したRNaseの分子量を測定したところ、糖鎖の切断は部分的に行われていることが明らかとなり、複数箇所に糖鎖修飾を受けていることが予想された。S9RNaseについては現在結晶化スクリーニングを行っている。SLFについては小麦胚芽のin vitro発現系で発現を試みた。3種類のSLFについて発現を行ったところ、いずれも可溶性タンパク質として得ることができたが、SRNaseとの特異的相互作用は確認できなかった。一方、SLFと相互作用するSSK1については相互作用が観察できた。SLFのゲルろ過解析を行ったところ、SLFの数倍の分子量にピークが観察され、数分子が会合していることが予想された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究により、ピキアの分泌系を用いてSRNaseの発現系を確立することができた。結晶が得られない問題については糖鎖を切断するもしくは糖鎖修飾部位に変異を入れることによって糖鎖修飾を阻害することにより、解決できると考えている。SLFについてはSRNaseとの相互作用は観察されなかったが、SSK1との相互作用が確認できたので、一部は機能的に発現していると考えられる。SRNaseとの相互作用が弱く、検出が難しいだけかもしれないので、今後は大量発現系の構築を優先する。
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Strategy for Future Research Activity |
SRNaseの結晶化については糖鎖を切断して結晶化を試みる。また、糖鎖修飾部位の特定を行い、糖鎖の修飾が行われるアスパラギンをアスパラギン酸に変換することによって、糖鎖修飾を阻害したSRNaseを作製する。これらのSRNaseを用いて結晶化スクリーニングを行い、構造決定を試みる。SLFについては昆虫細胞の発現系で安定な発現を試みる。また、分子表面にあると予想される疎水アミノ酸を親水性アミノ酸に変換することによって、SLFの会合が起こらなくなるコンストラクトの探索を行う。またSSK1との共発現も行い、SLFの安定化を試みる。
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