2013 Fiscal Year Annual Research Report
複合体構造解析による細菌毒素の標的結合タンパク質認識機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Structural basis of cell-signalling complexes mediating signal perception, transduction and responses |
Project/Area Number |
25121733
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
津下 英明 京都産業大学, 総合生命科学部, 教授 (40299342)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | モノADPリボシル化 / SpvB / アクチン / C3 / RhoA / 翻訳後修飾 / 結晶構造解析 / ホスト認識 |
Research Abstract |
多くの病原性細菌モノADPリボシル化毒素(ADPRT)を持ち、ヒトの重要な蛋白質を標的に修飾することで、その機能を不活性化する。我々はウエルシュ菌由来TypeIV ADPRTであるIaとアクチンの複合体構造を明らかにし、そのADPリボシル化を複合体結晶中でとらえることに成功している。(PNAS(2008),PNAS(2013))。この研究をさらに発展させる。1、サルモネラのマクロファージへの感染に重要で、生存に必須であるTypeIV ADPRT に属するSpvBの構造決定を目的とする。SpvB の活性部位ドメインであるC末端ドメインの構造は明らかになっているが、まだ未知の全長での構造決定を目的として、その発現精製と結晶化を行った。PEG4000を沈殿剤として用いて、大きさ50umのフットボール型の結晶が得られた。大きさと形ともに良くないが、その反射は4.5Å分解能まで得られて正方晶系であった。反射点のモザイク性は悪くなく、大きな結晶を用いればよいデータが得られる可能性は高い。現在この結晶の改良を続けている。2、TypeIII ADPRTのC3毒素は低分子量GタンパクRhoAのAsn41をADPリボシル化することでシグナル伝達を阻害する。C3毒素は生化学研究でRhoAの役割を調べるためによく使われてきたが、この修飾の分子レベルの構造は分かっていない。我々は今回、ADPリボシル化したRhoAの初めての構造を高い分解能:1.2Åで明らかにした。RhoAにおいてGTP型のon,GDP型のoffで大きなコンフォメーション変化を起こすswitchIループがあり、このswitchIループの端に、ADPリボシル化されるAsn41は存在する。立体構造に基づいて不活性化の機構を説明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1、SpvBの全長での構造決定するためには、まだ精製結晶化で工夫がいるが、すでに結晶が得られていることから、近いうちに十分構造決定可能と考えている。 2、我々のIaとアクチン複合体構造は、その反応を理解するために重要な1歩となった。TypeIII ADPRTのC3毒素とRhoA複合体構造を明らかにすることが、次の大きな目的であるが、ADPリボシル化したRhoAの構造を初めて明らかにしたことは、次のステップに進むためにも、非常に大きな意味がある。
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Strategy for Future Research Activity |
SpvBの全長での構造決定に向けて研究を進める。また、ADPリボシル化したRhoAの立体構造に基づいた不活性化の機構を説明するために、まだ構造生物学が関与できる欠けているピースがあり、それを埋めることが重要と考えている。
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Research Products
(8 results)