2013 Fiscal Year Annual Research Report
SecDFのタンパク質膜透過促進機構に関する電子顕微鏡構造解析
Publicly Offered Research
Project Area | Structural basis of cell-signalling complexes mediating signal perception, transduction and responses |
Project/Area Number |
25121742
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
三尾 和弘 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 主任研究員 (40470041)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 膜蛋白質 / 電子顕微鏡 / 構造解析 / 単粒子解析 / トモグラフィー |
Research Abstract |
SecDFはトランスロコン複合体において、膜を通過したペプチドをつかんでペリプラズム側に引き上げることで、淀みないペプチド輸送を可能にする。結晶解析からSecDFにはペプチド引き上げの初期状態(F型)と、後期状態(I型)の少なくとも2つの構造があることが示唆されたが、現在のところ解析に成功しているのはF型のみで、I型についてはペプチド結合領域P1の部分結晶しか得られていない。輸送機構の全容を理解するために、I型の構造解明が望まれている。 ペプチド引き上げの最終段階と考えられるI型構造を電子顕微鏡解析で確認することを目的に実験を行った。予備的検討において溶液中にはF型およびI型構造が混在し、さらにそれらの中間構造と思われる分子の存在も確認された。STEMトモグラフィーを用いた解析により野生型SecDFの三次元構造解析を行ったところ、大きく2つのグループに分けられ、それぞれF型、I型に対応するものと考えられた。更に単粒子解析法の技術を用い、負染色画像からの三次元構築を行ったところ、STEMトモグラフィー同様、F型とI型に相当すると考えられる2つの構造体を示すことができた。またI型のみを効率よく選び出すために、Ile106とLeu243をシステイン置換したコンストラクトを用い、分子内架橋によってI型構造比率を高めた試料を作成したした。電気泳動等の生化学手法で十分に架橋されたことを確認した後電子顕微鏡撮影でデータ取得し、単粒子解析法で構造決定した。この試料から得られた構造体はP1ドメインがI型構造をとっている状態を反映しており、SecDFの溶液中での構造変化を支持する結果を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
溶液中のSecDFの構造変化を明らかにするとの目標に対し、電子顕微鏡を用いた解析によって少なくとも2種類のコンフォメーションを取りうることを示し、成果をJ Struct Funct Genomicsに発表する目処がついたため。
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Strategy for Future Research Activity |
リポソームやナノディスクなどの技術を用いて、SecDFを脂質膜中に埋め込んだ状態を作成し、それをそのまま電子顕微鏡解析を行うことにより脂質膜中でのSecDFのコンフォメーション解明を目指す。
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Research Products
(9 results)