2013 Fiscal Year Annual Research Report
CRISPRシステムにおけるエフェクター複合体の構造機能解析
Publicly Offered Research
Project Area | Structural basis of cell-signalling complexes mediating signal perception, transduction and responses |
Project/Area Number |
25121744
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
沼田 倫征 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 主任研究員 (10401564)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | CRISPR-Casシステム / crRNA / Cmr複合体 / Csm複合体 / エフェクター複合体 / RNAサイレンシング / 結晶構造解析 / リボ核タンパク質複合体 |
Research Abstract |
CRISPR-Casシステムでは、まず、細胞内に侵入してきた外来DNAの一部が、宿主ゲノムに取り込まれる。取り込まれたDNA配列から合成されたcrRNAは、Casタンパク質と会合してエフェクター複合体を形成し、crRNAと配列相補的な外来核酸を特異的に認識し分解する。タイプIIIのエフェクター複合体は、crRNAと5種のCsmタンパク質からなるCsm複合体と、6種のCmrタンパク質からなるCmr複合体に大別される。 今年度は、Csm複合体を構成するCsm3とCsm4との複合体の結晶構造の決定を試みた。まず、これらタンパク質を共発現させ、各種クロマトグラフィーを用いて、複合体として精製した。Csm3-Csm4複合体の結晶化をスクリーニングした結果、単結晶を得ることに成功した。次に、大型放射光施設フォトンファクトリーにて回折実験を行い、3.1~3.2Å分解能の回折データを収集した。結晶の位相はセレノメチオニン置換体結晶を用いたSAD法により決定した。Csm3-Csm4複合体の構造を解析した結果、Csm4の構造がCmr3と類似していることが明らかとなった。一方、Csm3の構造はCas7と類似していることが分かった。ゲルシフト解析を行ったところ、Csm3-Csm4複合体は配列非特異的にssRNAと結合することが明らかになった。次に、Csm3とCsm4のいずれのサブユニットがRNA結合に関わるのか解明するため、それぞれのサブユニットとssRNAとのゲルシフト解析を行った。その結果、Csm3はssRNAとは結合せず、Csm4がssRNAとの結合に関わることが分かった。Csm4にはプラスにチャージした領域が存在しており、この塩基性領域にRNAが結合すると推定される。現在、変異体解析を進めているところである。また、Cmr複合体の再構成も進めており、これまでに、6種のCmrタンパク質が相互作用し、crRNAと結合することを確認している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
タンパク質サブコンプレックス(Csm3-Csm4複合体)の結晶構造を決定し、ssRNAが結合することを明らかにした。また、結晶構造解析に向け、Cmr複合体の再構成にも成功していることから、おおむね順調に進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
Csm4の変異体解析を行い、ssRNAが結合する領域を特定する。また、5つのタンパク質サブユニットおよびcrRNAから成るCsm複合体を再構成させ、その結晶構造を決定する。さらに、再構成に成功したCmr複合体の結晶構造を決定する。
|