2013 Fiscal Year Annual Research Report
血管-神経ガイダンスにおける共通分子実態の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Vasculo-neural wiring and their interdependent crosstalk |
Project/Area Number |
25122707
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
山岸 覚 浜松医科大学, 医学部, 助教 (40372362)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | FLRTファミリー / 血管形成 / 軸索ガイダンス因子 / Unc5ファミリー |
Research Abstract |
近年見出した神経軸索ガイダンス分子FLRT2が発生過程におけるUnc5B陽性動脈の走行をガイドしている可能性が考えられたので、発生過程における血管形成時にUnc5Bを発現している血管内皮細胞とFLRT2発現パターンの解析を行った。胎生11日齢のFLRT2 LacZノックインマウスを用いて凍結切片を作製しLacZ染色・抗PECAM抗体染色を行った結果、動脈血管内皮細胞周囲に存在する間葉系細胞でFLRT2の強い発現が観察された。この結果はFLRT2が血管内皮細胞に対してガイダンス因子として血管走行を制御している可能性を強く示唆している。また、FLRT2ノックアウトマウスにおける血管走行に異常が見られるか、抗PECAM1抗体を用いて胎児のホールマウント染色を行った。その結果、胎生11日齢の頭部静脈が融合し、分岐不全を生じているフェノタイプが観察された。この結果はFLRT2が血管の分岐に関わっていることを示唆している。次にin vitroにおいて静脈血管内皮細胞(HUVEC)を用いてFLRT2を基質としてコートしストライプアッセイを行った。その結果、HUVECはFLRT2に対して反発作用を示し、この過程でFLRT2を積極的にエンドサイトーシスしていることが明らかとなった。したがって、FLRT2は神経細胞だけでな血管内皮細胞に対しても反発作用を示すことが明らかとなった。 さらに、胎生9.5日齢のC57BL/6バックグラウンドのFLRT2ノックアウトマウスでは接着因子であるPECAM1の発現が全身において著しく低下していた。この結果から、FLRT2ノックアウトマウスが出血により胎生致死になる原因の1つとして、PECAM1発現低下による血管脆弱性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
神経軸索ガイダンス因子FLRT2が神経だけでなく血管に対しても反発性のガイダンス因子として作用しうるか仮説を検証し、血管内皮細胞(HUVEC)に対して反発性因子として機能することを見出した。HUVECはFLRT2を細胞内に積極的に取り込んでおり、リガンドとして作用していることをin vitroにおいて示すことができた。 また、FLRT2ノックアウトマウスにおいて、PECAM1の発現が著しく低下していること、静脈の分岐不全を生じているという2つのフェノタイプを見出すことができた。これらの結果から、FLRT2は複数の作用、すなわちRobo4やAng1の様にリガンドとして作用することで血管構造安定化に関わっていること、VEGFの様に分岐を促進する作用があることが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究でFLRT2ノックアウトマウスの血管走行に異常があることが明らかとなった。しかしながら、フェノタイプにばらつきがある為、カテゴリーに分けて、統計処理による有為差検定を行う。また、静脈系血管の分岐不全のフェノタイプを裏付けるため、静脈血管内皮細胞(HUVEC)を用いたチューブフォーメーションアッセイを行う。FLRT2は血管周辺部間葉系細胞に発現していることが明らかとなった為、血管内皮細胞に対してノンセラトノマスなガイダンス因子として影響を及ぼしている可能性があり、引き続きin vivo及びin vitroにて詳細に解析を行う。特にFLRT2の作用がUnc5B受容体を介しているかどうかに注目する。Unc5Bの野生型及びドミナントネガティブ強制発現細胞を用いて、FLRT2に対する応答性を解析する。また、Unc5Bノックアウトマウスの血管内皮細胞を初代培養し、FLRT2刺激をした際の反発作用をタイムラプス顕微鏡にて観察する。また、細胞内ではどのようなエンドサイトーシス経路によってFLRT2を取り込んでいるのか、どの小器官に蓄積しているのかを解析する。 一方、マウス網膜血管網は出生直後7日齢頃までに放射状に伸長しながら形成される。この系はin vivoにおける内皮細胞の形態や血管の分岐を観察する系としてよく用いられている。網膜内においてもFLRT2が発現しており、Unc5B受容体も血管内皮細胞に発現している為、網膜内血管形成に両者がリガンド・受容体として機能している可能性が考えられる。したがって、FLRT2ノックアウトマウスを用い、血管走行についての解析を行う。
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Research Products
(7 results)