2013 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質形成と血管新生の相互連関の解析
Publicly Offered Research
Project Area | Vasculo-neural wiring and their interdependent crosstalk |
Project/Area Number |
25122722
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Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
永田 浩一 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 神経制御学部, 部長 (50252143)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 大脳皮質 / 神経細胞 / 血管 / アストロサイト |
Research Abstract |
前度に引き続き、マウス発生期(E13,E15, E17, P0, P7, P30の各時点)における大脳皮質血管の形成状態を観察し、脳血管アトラスを作成した。この結果を現在原著論文にまとめており、近日中に投稿予定である。 また、大脳皮質形成障害のモデルマウスを用いて、神経組織の形成障害が血管ネットワーク形成に及ぼす影響を解析した。脳血管形成機構を追求し、発生期マウスの大脳皮質形成と血管形成の相互連関の実態の一端を明らかにした。具体的には、大脳皮質の層構造は正常であるが皮質自体が発育不全になる大脳皮質形成障害モデル(SIP1-cKOマウス)の解析を行った。このKOマウスにTamoxifenを投与すると大脳皮質形成不全がおこる。このとき、脳室近傍の血管網に大きな乱れが生じることを確認した。この結果は、発生期の大脳皮質形成と血管ネットワーク形成が協調的に進行することを示唆している。現在、SIP1の発現抑制の程度や発現抑制のタイミングがどのように血管ネットワーク形成に影響を及ぼすのかについて、さらなる解析を継続している。さらに、大脳皮質形成に必須の役割を果たす低分子量G蛋白質Rap1のKOマウスを作出してコロニー形成に成功した。現在までに基礎的な解析に着手することが出来た。 一方、本年度は、大脳皮質形成の際のアストロサイトの移動に血管ネットワークが果たす役割りにも着目して研究を行った。その結果、脳室近傍で生まれたアストロサイトは、大脳皮質内をランダムな経路をとりながら移動する際に、血管を足場として利用する場合があることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウス大脳皮質形成期における血管ネットワークのアトラス作成については、所定のデータを集積して論文投稿準備中である。また、reelerとSIP1-KOマウスを用いての、大脳皮質形成障害が血管ネットワーク形成に与える影響の解析も概ね順調に進んだ。さらに、アストロサイトの発生と脳内分布における血管ネットワークの役割の解析も順調に進んでおり、最終年度に論文を作製できる目処がついている。 一方、Septin(Sept8とSept9)および低分子量G蛋白質Rap1シグナルに着目し、これらが発達期の神経-血管ネットワーク形成に果たす役割を形態学的に解析することを目的としたが、Sept9とRap1の大脳皮質神経細胞特異的KOマウスの作出が遅れ、実験データをとれるようになったのが平成26年に入ってからとなり、確定的なデータを得るにはさらに1年ほどかかる見込みであり、当初計画より遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
マウス大脳皮質形成期における血管ネットワークのアトラスに関する学術論文については、年度内の受理・出版を目指す。また、アストロサイトの発生・脳内分布と血管ネットワークの関連性に関する論文は年内の投稿・採択を目標とする。 reelerマウスとSIP1-KOマウスの解析については、年度内にデータを集積して論文の執筆・投稿にこぎつけたい。一方、Septin(Sept8とSept9)およびRap1のKOマウスの解析を進め、これらの分子が大脳皮質形成と血管ネットワーク形成に果たす役割を主として形態学的手法を用いて解析する。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] SIL1, a causative cochaperone gene of Marinesco-Sjogren syndrome, plays an essential role in establishing the architecture of the developing cerebral cortex.2014
Author(s)
Inaguma Y, Hamada N, Tabata H, Iwamoto I, Mizuno M, Nishimura VY, Ito H, Morishita R, Suzuki M, Ohno K, Kumagai T, Nagata K
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Journal Title
EMBO Mol. Med.
Volume: 6
Pages: 414-429
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Localization of a multi-domain adaptor proteins, p140Cap and vinexin, in the pancreatic islet of a spontaneous diabetes mellitus model, Otsuka-Long-Evans-Tokushima Fatty rats.2013
Author(s)
Yamauchi M, Sudo K, Ito H, Iwamoto I, Morishita R, Murai T, Kajita K, Ishizuka T, Nagata K
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Journal Title
Med. Mol. Morphol.
Volume: 46
Pages: 41-48
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Biochemical and morphological characterization of an autism-related molecule, A2BP1, in developing cerebral cortex.2013
Author(s)
Nagata K , Hamada N, Ito H, Iwamoto I, Mizuno M, Morishita R, Inaguma Y, Tabata H
Organizer
American Society of Cell Biology Meeting
Place of Presentation
エルンスト記念会議場、New Orleans, USA
Year and Date
20131214-20131218
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[Presentation] Essential role of SIL1, a causative gene of Marinesco-Sjogren syndrome, in the architecture of cerebral cortex during development.2013
Author(s)
Nagata K, Inaguma Y, Nishimura YV, Hamada N, Mizuno M, Ito H, Suzuki M, Hosokawa M, Kumagai T.
Organizer
24th ISN Biennial Meeting
Place of Presentation
カンクン国際会議場、Cancun, Mexico
Year and Date
20130420-20130424