2013 Fiscal Year Annual Research Report
ガイダンス因子による樹状突起制御メカニズムの解明
Publicly Offered Research
Project Area | Neural Diversity and Neocortical Organization |
Project/Area Number |
25123708
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
生沼 泉 京都大学, 生命科学研究科, 助教 (40452297)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 樹状突起 / ガイダンス因子 / インテグリン / R-Ras / M-Ras / semaphorin |
Research Abstract |
これまで、セマフォリンをはじめとするガイダンス因子は、いわゆる「軸索ガイダンス因子」として、精力的に研究されてきた。一方、近年の研究で、それらが軸索に対する機能だけではなく、大脳皮質神経細胞の細胞移動や、神経細胞の樹状突起の形態や配向性の制御をも担っていることが明らかになってきている。しかしながら、ガイダンス因子や細胞接着因子をはじめとした細胞外因子の、軸索形態調節以外に対する役割およびその作用メカニズムは、いまだ、明らかではない。本研究は、発達過程の大脳皮質の神経細胞の移動や、移動後の樹状突起の形態や配向性が、種々の細胞外因子やその受容体によって、どのように制御されているのかの分子メカニズムの解明を試みた。その結果、インテグリンシグナルにより、ラット大脳皮質初代培養神経細胞の樹状突起伸長が促進されること、またその樹状突起伸長促進は低分子量G蛋白質 M-Ras の活性化を伴うことが明らかになった。一方で、反発性ガイダンス因子Semaphorinは M-Ras の活性低下により樹状突起縮退を引き起こす。これらの知見から、樹状突起周囲の誘引性・反発性の外部因子情報は M-Ras 活性に統合され、伸長・縮退の運命決定を受けていると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究全般において、大脳皮質神経細胞への遺伝子導入を in utero electroporation 法に依存しているが、狭範囲に密度高くに遺伝子導入されてしまうため、蛍光レポーターをトレースすることでの樹状突起の定量が、困難だったため、論文にまとめるにあたっての障害になっている。現在、その克服のため、より信頼高い定量性のある別の系の構築に取り組んでいるため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は、前年度までに得られた成果を論文投稿へ向けて、ブラッシュアップする。また、大脳皮質内におけるガイダンス因子およびその受容体の分布の網羅的解析を行い、大脳皮質神経細胞樹状突起伸長におけるインテグリンのリガンド分子の探索を行う。また、樹状突起先頂部の細胞骨格変化を全反射顕微鏡観察し、軸索成長円錐との構造や機能的類似点・相違点を見いだすことで、形態変化を引き起こすに至る machinery の全容を明らかにしていく。
|