2013 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質抑制性介在ニューロン発生・分化の初期過程
Publicly Offered Research
Project Area | Neural Diversity and Neocortical Organization |
Project/Area Number |
25123710
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村上 富士夫 大阪大学, 生命機能研究科, 特任教授(常勤) (20089882)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 大脳皮質抑制性ニューロン / 多様性 / アストロサイト / 子宮内電気穿孔法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終目標は大脳皮質の抑制性介在ニューロンの多様性を生む機構を解明することである。しかしながら、大脳皮質の抑制性介在ニューロンを生む前駆細胞は神経細胞以外の細胞、すなわちグリア細胞も産生する可能性がある。したがって、抑制性介在ニューロンを生む前駆細胞からの細胞産生の全容解明にはグリア細胞の産生の有無、その機構を知る必要がある。そこで遅れていた遺伝子改変マウスの準備も進んだため、本年度はグリア細胞、なかでもアストロサイト(AS)に焦点を当てて研究を遂行した。 具体的には前脳腹側部由来の神経細胞とASを同時に可視化し、その分布の比較を行った。そのため、胎生10.5日目のマウス胎仔の前脳腹側部の脳室帯の細胞に電気穿孔法で蛍光遺伝子を導入した。導入された遺伝子が前駆細胞の分裂の結果希釈されることを避けるため、トランスポゾンを利用して、蛍光遺伝子をゲノムに組み込んだ(Kawakami et al., 2007; Sato et al., 2007)。また、前脳腹側部の中の部位の違いを見分けるために遺伝子改変マウスを併用した。これにより、グリア細胞を含む全ての前駆細胞由来の細胞を標識することが可能となった。その結果、新皮質、海馬、線条体、嗅球、側坐核、嗅結節、梨状葉、扁桃体において、神経細胞が標識された。しかしながら、嗅球、新皮質、海馬、側坐核では神経細胞のみが標識された。 以上の結果は少なくとも前脳では脊髄とは異なり、特定の部位のASとニューロンは起源を異にしていることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遺伝子改変マウスの繁殖に若干手間取ったものの予想外の結果も得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
抑制性介在ニューロンを産み出す前駆細胞のグリア細胞産生における役割に関しては概ね解明が進んだため、今後は当初の目的であった大脳皮質の抑制性介在ニューロンの多様性を生む機構の解明に全力を注ぐ予定である。方法としては、これまでと同様な子宮内電気穿孔法による細胞の標識と遺伝子改変マウスを組み合わせて行っていく予定である。
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Research Products
(5 results)