2013 Fiscal Year Annual Research Report
オタマジャクシ・カエル・ラットの比較による脊髄再生促進因子の探索
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular mechanisms underlying reconstruction of 3D structers during regeneration |
Project/Area Number |
25124701
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
北田 容章 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80324614)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 脊髄損傷 / 細胞新生 / 上衣細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
「両生類・魚類の脊髄損傷は自発的に治癒するのに、哺乳類ではなぜ再生しないのか」という問いにアプローチするため、個体発生時に再生可能動物(幼生:オタマジャクシ)から再生不可能動物(成体:カエル)となる Xenopus を用い、脊髄損傷において神経機能再建に主要な役割を演じると考えられている上衣細胞に着目し、幼生と成体の正常脊髄における動態を観察した。申請者は、再生可能状態にあるオタマジャクシ脊髄の上衣細胞が、幹細胞としての能力を有すると考え、まず正常脊髄における中枢神経系の発生と細胞運命決定に重要な転写因子発現を確認した。すると、脊髄上衣細胞について背腹方向に特徴的な発現が見出され、Stageが進むにつれてその発現領域が狭くなる事も確認された。更に、M期やG0期以外の細胞周期マーカーの発現パターンを加味すると、再生可能時期におけるXenopus 脊髄の上衣細胞でのこれら細胞運命決定に関する転写因子や細胞周期マーカーの発現様式は、齧歯類の胎児期脊髄におけるそれと似通っていると考えられたため、マウス胎児脊髄の転写因子発現及び細胞周期マーカー発現パターンと比較した。すると、少なくともStage50及びStage54のXenopus 脊髄は、胎児発生の特定の時期のマウス脊髄と非常に良く似ていると言える事が判明した。また、XenopusのStage50, 54, 58, 66における細胞発生を確認するため、それぞれのStageのXenopusをBrdU含有水にて処理し、一定期間の後心臓からの灌流固定を行い組織を確認したところ、いずれのStageにおいてもBrdUを取り込んだ細胞が確認された。これらの事から、再生可能時期のXenopus脊髄に存在する上衣細胞は、齧歯類の発生時期にある脊髄神経上皮細胞と同様の細胞分化能力を有する事が示唆された。また、再生可能・再生不可能時期の脊髄においても、細胞新生が生じている事が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
再生可能時期である Stage50-54 の Xenopus 脊髄の上衣細胞の能力が、胎児期のマウス脊髄の神経上皮細胞と同等と考えられる事は想定以上の結果であった。但し、分裂細胞による細胞新生についてその細胞がどの系譜の細胞であるかをつきとめる必要があるが、Xenopus 以外の両生類、例えばイモリで普通に用いる事の出来る抗体が Xenopus 組織では無効であったり、あるいは細胞内の線維構造や髄鞘構造が認識されても細胞体のマーカーとして用いる事が出来なかったり、そもそもXenopusでは特定細胞のマーカーとして有効ではなかったりして、分裂細胞の細胞系譜を同定する事が不可能であった。脊髄再生を促進する因子の同定には再生可能/不可能時期の上衣細胞の特性の違いを明らかとする必要があるが、そのためには分裂細胞により生じる新生細胞の細胞系譜の同定が必須であり、in situ hybridization を組み合わせるか、あるいは抗体の自作、更には複数の抗原賦活化法の通常では用いられない組合せ等の手法の工夫が必要と考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
各Stageにおいて生じている細胞新生について、その新生細胞の細胞系譜を明らかとする。イモリやマウス等で用いられる神経細胞・オリゴデンドロサイト・アストロサイトのマーカーが Xenopus では使用不可能であったため、in situ hybridizationや複数の抗原賦活化法の組合せによる細胞系譜マーカーの同定を試みる。また、新規抗体作成の可能性も模索する。更に、Xenopus 損傷脊髄における上衣細胞の動態を追跡し、神経再生に重要と思われる損傷後時期を確定する。そして、その神経再生に重要と思われる損傷後時期において、Stage50及びStage66の個体を用い、それぞれのステージにて偽手術群・脊髄損傷群を用意し、計4群について脊髄組織を採取し、microRNA を抽出後、次世代シークエンサーを用いて発現 microRNA の比較検討を行い、再生可能動物の特定の損傷後時期において特異的に発現が上昇する、あるいは発現が下降する microRNA を同定する。
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[Journal Article] Transplantation of bone marrow stromal cell-derived neural precursor cells ameliorates deficits in a rat model of complete spinal cord transection.2013
Author(s)
Aizawa-Kohama M, Endo T, Kitada M, Wakao S, Sumiyoshi A, Matsuse D, Kuroda Y, Morita T, Riera JJ, Kawashima R, Tominaga T, Dezawa M.
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Journal Title
Cell Transplantation
Volume: 22
Pages: 1613-1625
DOI
Peer Reviewed
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